日向蓬『糸とんぼ』
角川書店の文芸雑誌・野性時代4月号掲載。雑誌の紹介文より大人と子供のあいだで揺れる少年のやわらかなまなざしを通して、老いをまっすぐ見つめる珠玉の短編。ボケてしまったおじいさんと、おじいさんがかっこよかった頃を知っているぼくがここにいる。なんだかいいです。読み終わってからじわじわきます。日向蓬さんの作品には、優しいまなざしで描く、リアルな人生を感じます。リアルな人生には、厳しさを感じますが、優しいまなざしで描き、ほのぼのしますが、それでも人生は厳しいものですね。『糸とんぼ』が人生を表しているのでしょうか、自然に自由に生きられるのに、人は自分で作った檻の中に住み、檻の中で死んでいく。作家さんへのファン度、90点厳しい人生にもあるハートウォーミング度、90点