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カテゴリ:すてきな人びと
明日、文楽東京2月公演が初日を迎えます。それに先立ち、文楽を楽しむ会に行ってまいりました。数十年前、清十郎さん(4代目)が東京公演のたびに人形を持参して後援会のかたたちと交流の会を持っていらして、近ごろ襲名が決まった清之助さんも、そこで文楽と出会われたとのこと。清十郎さん(4代目)は1984年に亡くなりましたが、楽しむ会はその後同じような会を続けたいとの意向で始まったそうです。なお、豊松姓は絶えていましたが、襲名により復活することになりました。以前メトロ文楽で駅員さんが「吉田先生のメトロカード」などと売っていましたが、吉田姓のかたはたくさんいらっしゃるので、それでは誰のことやらわかりません。
清十郎さんの会でいつも左を遣っていらしたのが、1月に亡くなった文吾さんだったとのことで、最初に文吾さんを偲んでエピソードを聞かせていただきました。役に入り込むかたで、小道具を壊してしまったことがあったり、悪いお婆さんを箒でたたく役のときには、本気でたたくので、お婆さん役のかたの手が腫れてしまったうえに、ついにはお婆さんの人形のかしらを操作する糸が切れ、大変な思いをされたとか。ご自分の人気ではなく、文楽の人気を高めるために一生懸命だったそうで、言われてみれば、よく、ロビーでご挨拶なさっている姿をお見かけしました。3年くらい患っていらしたけれど、「しんどい」など愚痴を言わず、最後まで目が輝いていらしたので、周囲の人も弱っていく姿を見てつらい、ということがなかったそうです。本当にいつも張り切っていらっしゃるお元気なかたで、まだまだ拝見できると思っていたのに残念です。でも、本当にお好きな道を一途に歩まれたお幸せな人生だったと思います。合掌 今回は三味線を聞かせていただく番、とのことで、お正月に上演された七福神より、三味線と胡弓、琴、細棹三味線の演奏を中心に聞かせていただきました。曲弾き(高く持ち上げて弾いたり、くるっと回してすぐ続きを弾いたり)的な珍しい演奏もありました。最近ちょっと耳が慣れてしまいましたが、文楽の太棹三味線を聴き始めたころは、なんと斬新に響いたことでしょう。前衛音楽より斬新!と思ったものでした。今でも太棹三味線を聴いていると心が高揚します。「一の糸」みたいなのとは違いますけれど。 2月の演目、「中将姫雪責の段」は、歌舞伎のような様式的な嗜虐美ではなく、親子の情を中心に描かれており、「壺坂霊験記」は小さな劇場でもできるため本公演ではかえって珍しい、「義経千本桜」は今回は狐忠信中心とのことでした。 日本芸術文化振興会「2月文楽公演」 なんと、5月には37年ぶりの再演という(といっても誰も見たことも聞いたこともないそうですが)北条秀司作「狐と笛吹き」の上演が決まっているそうで、演出はあの植田紳璽氏です。 この作品は10年ほど前に歌舞伎座で見たことがありますが、現代語だとちょっと学芸会みたいだな、と思った記憶しかありません。検索してみたところ、今昔物語を題材にしているとわかりました。美空ひばりさんの映画もあるらしいです。中途半端に古臭いのは嫌だな、などと先入観を持たずに、まあ見てみようかと考えております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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