あれは私が5歳の頃
私達は田んぼの真ん中に住んでいました。
まるで倉庫のような家でした。
父の仕事はギャンブル たまに帰って来ていました。
本物のチンピラだったと思います。
母はいつもしんどそうでした。
見兼ねた近所のお屋敷の人達に私達は可愛がってもらうようになりました。
お風呂に入れてもらったり 洋服をもらったり
私はいつも可愛いお洋服
そのお家にはお兄ちゃんとお姉ちゃんがいました。
よく遊んでもらいました。
お兄ちゃんは いつも私の写真を撮ります。
何度も 何度も撮りたがる お兄ちゃんが 嫌になりました。
子供ながら異様に感じたのでした。
このお兄ちゃん 私に惚れてる??
ある日 幼稚園バスに乗り遅れた私は 大泣き
泣きながら母と帰っていると
お兄ちゃんが家から飛び出して来て「送ります!!」
私はお兄ちゃんの車で幼稚園まで行きました。
最近 気がついたのですが 5歳の私に惚の字じゃなく
母のことが好きだったのですね。
彼の異様な行動は母が好きだったから・・・
貧しい暮らしの中 一生懸命生きてる母は美しかったのでしょう。
愛されるチャンスが あった母
父を待たなければ 女の幸せを手に出来たのに。
お兄ちゃんの気持ちには 鈍感な母は気がついてなかったみたいです。
母は今 一人です。
どうか 声をかけて もらえませんか?
「愛してる・・」って。
懐かしい思い出
素敵なお兄ちゃん 元気でいるかな?