カテゴリ:その他の生活
今度は娘が緊急入院
弱り目に祟り目 英語では Troubles never come alone. というとか。 主人の容態が安定したかと思ったら一人暮らしの娘が救急車で運ばれました。 まさかの緊急入院。 そして搬送先では緊急手術の必要があると聞かされました。 しかしそこでは開腹手術。 嫁入り前の娘に開腹手術は酷いです。 必死で腹腔鏡手術ができる病院に転院させてくれるように希望しました。 泣きながら訴え、やっと受け入れ先が決まり救急車で搬送されたのは14時ごろ。 受け入れ先の病院では早速オペの手配がされました。 執刀開始は17時。 早ければ1時間、難しければ3時間、それ以上かかることもある⋯ 祈る気持ちで娘を手術室に送り出しました。 待っている間に必要なものを買いにコンビニへ行きました。 病院の外に出るとあまりにも明るい世界に戸惑いました。 いつものように家路につく人、交代で帰る看護士さん⋯ その人たちには変わることのない当たり前の世界が なんだかパラレルワールドのようにそこに冷たくありました。 歯ブラシ、水、ティッシュ⋯ 主人の入院で分かってるはずの必要なものもなかなか頭に浮かんできません。 病棟の待合室に戻りただ待ちました。 どうか手術がうまくいきますように。 悲しい結果になりませんように。 痛みを私が代わってあげられたら⋯ 1時間が過ぎ、2時間も過ぎました。 いたたまれなくなって手術室のある階へ行こうとしましたがそこは立ち入り禁止。 どうしようもなくフラフラとロビーへ降りていきました。 誰もいないロビー⋯ なのに行き交う人々の幻影が目の奥に見えるような気がしました。 そして呼び出しのアナウンスが聞こえるような錯覚⋯ しかし、じっとそこを見つめると昼間の混雑はなく、 嘘のように静まり返っていました。 放心していたようでしたが、我に返りふらふらと病棟へ戻ろうとすると⋯ 廊下の壁の鏡に人影が映り走り去ったような錯覚に襲われました。 娘に何かあったのか、と急いで病棟に行き尋ねるとまだ手術中という答えです。 病棟の待合室にはお見舞いの人に囲まれた患者さんがにこやかに話しをしていました。 すぐそこで、聞こえているはずなのに何も耳へ入ってきません。 ただスローモーションのように動く人たちと笑っている気配だけが伝わってきました。 しばらくすると面会時間終了のアナウンス。 もう20時になったのです。 手術が始まってもう3時間です。 いつの間にか一人になった待合室で、 廊下を人が通るたびにハッとしながら長い長い時を待ちました。 目を閉じて繰り返し 「どうか娘の手術がうまくいきますように、輸血をしないですみますように、 これからの人生に障害が残りませんように⋯」 と強く祈っていました。 俯いていると手術着の執刀医の先生方が入ってみえました。 「手術はうまくいったのでしょうか⋯」と聞くと 「お話はあちらの部屋で⋯」とスタッフステーションの先の部屋に案内されました。 厳しい表情で足早に先を行く二人の姿を見て心が怯えていました。 椅子を勧められパソコンの前の執刀医の先生の横に座りました。 「なかなか困難な手術でした。 緊急でもありましたがスタッフ全員が最善を尽くし手術は成功しました」 「⋯」ありがとうございます、と言わなければいけないのに涙が先でした。 よかった、本当によかった。 やっと「ありがとうございます。皆様に感謝いたします」というと 「輸血もしないですみましたし早ければ4、5日で退院できますよ」 というのを聞くとこわばっていた全身にスウっと血が巡っていくようでした。 しばらくして娘も病室に入り短い会話をすることができました。 頭の中で「ありがとうございます、ありがとうございます」という言葉が 誰にともなく繰り返されていました。 娘が眠りについたので、着替えなどを取りに行くことにしました。 一階に降りて車を止めてあったところまで行きました。 すっぽりと闇に包まれている通路を病院の明かりが照らしていました。 頭に中ではまだ「ありがとうございます⋯」という言葉が繰り返されていました。 見上げるとビルの狭間の切り取られたような空は無限に深く続ています。 その空の深いところから見つめている誰かがいるような気がしました。 何に対して、誰に、感謝しているのだろう⋯ 答えはわかりませんでしたが、何かそこにある大きなものに感謝していました。 それが何と呼ばれていようとも祈りを叶えてくれた存在があるように思えました。 深く心から強く祈れば願いは聞き届けられる⋯ 本当に強く祈るということはそれを叶えてくださいと縋ることではなく、 心から全てのことが良い方向にいくと信じて最善を願うことなのかもしれない⋯ 次の日娘はもう歩く練習を始めていました。 入院を受け入れ緊急手術をしてくれた病院に感謝します。 時をおかず手術してくださり、時間がかかってもあきらめず、 機能を残して粘り強く患部を全て取り去ってくださった執刀医の先生方にも、 笑顔を絶やさず優しく看護してくださった看護師のみなさまにも。 昨日は主人もリハビリ病院に転院しました。 いろんなことが立て続けに起こりましたが、 これから先は良くなっていくだけだと希望を持って毎日を送っていきます。 最後まで読んでいただきありがとうございました。 ランキングに参加しています。応援してくださいね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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