藤本義一さんと言う人・・・・・
昨日79才で永眠なされた。 深くご冥福をお祈り申し上げます。 藤本義一さんには殊更思い入れがある。 筆者が学校を出て初めて 関西に就職したころから彼の活躍と重なる。 右も左も分からなかった 田舎もんは彼の著作や11PMを代表とするTVで随分と軽妙洒脱な 言動で関西を中心とする世の中というものの薫陶を受けたものである。 柔らかい関西弁を駆使した温和な語り口は大変親しみがあった。 明治の落語家を主題にした 「鬼の詩」 で直木賞を獲り、その後も 次々と庶民を描く名作を書かれた。 筆者はとりわけ彼のエッセイが 好きで発刊を待ちかねて読んだものだ。 大橋巨泉氏と組んだ11PMは当時圧倒的に中高年のオトーサン達を 捉えて放さなかった。 ご存じの方も多いだろう。 当時にしては一寸 エロチックな雰囲気のある番組で司会の巨泉氏と義一氏の百戦錬磨 で豊富な知識があの晩い時間帯を盛り上げていたのは記憶に新しい。 義一氏はお父さんの質屋の家が戦災で焼かれ、12才から闇市やら 競艇場やら競輪場でアルバイトし通天閣界隈に通うことになる。 そうした苦労にめげず大阪府大に進み経済学士として卒業する。 学生時代から脚本を書いていたというから文才はあったのだろう。 そして生涯の師と仰ぐ川島雄三監督と出会い、益々その筆が磨かれ ることになる。 筆者は彼の作品を通して様々な事を教えてもらった。 なんか筆者にとっては心の師匠を失った気持ちがする。 この齢に なって、普段は忘れているけど当時は私淑していたのである。 筆者にとっては 「巨星墜つ!」 と言ってもいいくらいの存在だった。