五風十雨
曇天である。何となく暗く明るくないのは気が晴れないものだ。 夕刻から雨の様だが暫く好天が続いたのでまあ仕方がないだろう。 「五風十雨」と昔から言われる。五日に一度風が吹き十日に一度は 雨が降るというのが農作物の生育にいいという古人の教えである。 豊年の兆しであり転じて”世の中が太平”なことも意味する。 然し今の世の中は五風十雨とは言えない世相で安閑としては居られ ない。そんな中でリオ・オリンピックは8月5日に幕を開けるのである。 ブラジルはBRICsと言われて久しい。経済成長を遂げていた国として 挙げられたのはつい2000年ころであった。Brazil,Russia,India, Chinaの4ヵ国。それがどう今ではインドを除いて他の3ヵ国は経済の 低迷に喘いでいる。長続きはしないものである。 ブラジルは特にルセフ大統領が汚職で弾劾裁判の結果180日間の 職務停止になりオリンピックは大統領不在になるのだ。この15~6年 の間、貧富の差が拡大し今回のオリンピックでもリオの警察や消防に 携わるお役人が給料の未払いに抗議して、”Welcome to hell" (地獄へようこそ)などという物騒な横断幕を掲げてデモをしていた。 一体治安を守るべき警察官を無しにしてオリンピックなど開ける積り なんだろうか。唯でさえ治安が悪く、ひったくり、強盗、殺人など 日常茶飯事の国で果して世紀の祭典が無事開催できるか甚だ疑問 である。警察の替りに軍隊が守るのかどうか知らんが公務員に給与 が支払われない国なんて前代未聞だ。それほどオリンピックの準備 にカネがかかったから公務員の給与が支払われないものなのか。 このルセフ女大統領はそんないい加減な国家予算を立て地方行政 が行き詰まるほどの国家運営をしていたのか。お粗末極まりない。 世界中でテロが頻発している昨今、オリンピックで沢山の外国人が 集まるブラジルは格好のターゲットになり兼ねない。相当厳重な警戒 が必要なのに肝心の地元警察が職務放棄では無防備にも程がある。 どうも危なっかしい、安心できない、何かが起こりそうな予感がする。