時代と男とヒゲ!
明治時代の男はヒゲを生やした人が多い。これは西欧を見倣ったという 様に考えるべきなのか。イギリスのチャーチルもジョンブルで立派な髭 を蓄えていた。中近東に行くと殆どのアラブ人はヒゲ面である。 アメリカの十六代大統領リンカーンもヒゲを生やしていた。彼の場合は 頬ヒゲと顎ヒゲである。 ところで私の高校時代、英語の先生が「お前ら、ヒゲにもいろいろある んだぞ、顎ヒゲはbeard, 頬ヒゲはwhisker, チャーチルのはmustacheと 言って区別する、覚えとけ!」私は素直だから今だに覚えているのです。 フランスの名探偵ポアロ警部のヒゲもmustacheですね。 ヒゲはかつては権威の象徴であった時代もありました。男らしいと言うか 強そうな風貌になって女性から見ると「あら、ちょっと男らしくて素敵じ ゃない?」と誤魔化せる部分もあるのだ。顔を寄せられサワサワと皮膚の どこかに接触されると堪らんという女性もいる。触るか触らんかくらいで すぞ~、ベタっとはいけまへん、何でもそうだが”触れなば落ちん”くらい がいいのです。刺身だって寿司だってそうでしょう、お醤油をべったりは いけません、端っこをチョイチョイと付けるくらいがいいのです。ナニ? 刺身や寿司と一緒にするな、ですと? こりゃまた失礼! 明治時代の人には日本人もヒゲを蓄える男が多かった。政治家、軍人など はその典型だった。伊藤博文はじめ軍人にはヒゲの人が多かった。大将や 元帥になると立場上もあるがヒゲがよく似合っていた。権威の象徴という か立場が分かりやすかった。 「男は四十を過ぎたら自分の顔に責任を持たねばならぬ」と言ったのは他 でもないリンカーンである。かく言うリンカーンはアメリカのヒーロー的 存在だが、恐妻家だったのを知ってますか? メアリー夫人はいつも亭主 であるリンカーンを怒鳴り散らしていたらしい。だからあまり家に帰りた がらず、夜も事務所に残っていたり友人の家に泊まったり”帰宅拒否症候群” にかかっていたという。リンカーンの悲劇は「暗殺」でなく「結婚」だった と言う人もいるくらい恐妻家だったらしい。 あれだけ立派なヒゲをお顔に蓄えていてもあれは国民向けの顔であり、家に 帰れば只の恐妻家だったのである。でもその猛妻は夫リンカーンの尻を叩い て第十六代大統領にしたのだから大したものだ。 たかがヒゲ(髭、鬚、髯)されどヒゲである。皆さんヒゲをどう思いますか。 気弱い男はヒゲで外面を誤魔化すという人もおります。強い男の象徴である という人もおります。どんなもんでしょうか。