カテゴリ:音楽
ネットでファンの署名を集めてvap(オメガトライブ音源を持っている会社)へ企画を持ち込み、大変レベルの高いコンプリートボックスとして発売された話を聞くと、ネットが持つ力と可能性を伺うような気がします。
私はPC-8801の頃からパソコンを使い始め、98全盛期を経てワークステーションでの仕事、DOS/Vマシンの隆盛とインターネットの発達まで、20年以上の間、ITに関わっています。 ハードウェアとソフトウェアのコモディティ化がもたらした世界は、素晴らしいものへと進化しているようです。 光があれば影があるように、様々な新しい問題が起こってきていますが、悪用されることなく福音をもたらすものとして、私達IT技術者も常に監視の目を怠らないようにしなければいけませんね。 といってもしがないSE/プログラマの独り言なのです(w 話を戻して、1986オメガトライブ / カルロス・トシキ & オメガトライブ コンプリートボックス「Our Graduation」は、素晴らしいの一言に尽きます。 どの辺りが素晴らしいのかと言いますと、 ・美しいボックスのデザイン(w ・全アルバム、シングル、シングルカップリング曲、カラオケまで完全収録 ・テレビ出演時の映像、プロモーションビデオ映像(完全収録)、ファイナルコンサートの映像がDVD2枚組 ・全音源、画像ともにデジタルリマスタリングを行い、最高の品質に ・添付ブックレットの丁寧な説明と、ファンクラブのグッズ画像まで収録(w と、ファンの熱意というか執念を感じさせる、完全なコンプリートボックスです。 音質はレベルをかなりあげてあり、ノイズは皆無で、バランスのよい音に仕上がっていました。 テレビ出演時の映像は、これって生放送?ってぐらいにリアルできれいです。 この品質で22500円なら、お買い得だと思います。 ボックスの売り上げ次第では、カルロスの再来日とコンサートがあるかもしれません(^^)。 ファンの方、あるいはAORが好きな方は、ぜひ購入してみて下さい。 ここからは、個人的におすすめの楽曲の説明です。 ----- 「君は1000%」(1986.5.1) 作詞:有川正沙子 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 カルロスが21歳の時のデビューシングル。 杉山清貴&オメガトライブの名曲「ふたりの夏物語」に相当するレベルの名曲です。 曲名と歌詞の意味が不明なのは愛嬌として、サビの「君は1000%」の発音のよさに、新しいオメガトライブはかっこいい!と感じさせました。 Bメロとインターバル部分のメロディが素敵です。 「Indian Summer」(1987.2.4) 作詞:有川正沙子 作曲:西川俊次 編曲:新川博 アルバム「Crystal Night」の曲。 キーボードの西川俊次の作曲で、コード進行は杉山清貴の頃を思い出します。 メロディーが印象的で、シャープなアレンジが引き立てています。 タイトルは小春日和って意味ですよね。 「Crystal Night」(1987.2.4) 作詞:藤田浩一、カルロス・トシキ 作曲:和泉常寛 シティポップスAOR全開! シンセのキラキラ・サウンドが時代を感じさせます。 前奏(サビのメロディと同じ)からAメロへは突然の転調、AメロからBメロ無しでサビに入るところで4度音への転調、サビからAメロに戻る部分のコードは「やられた」としか言いようのないフュージョンコードです。 インターバル部分の掛け合いは4度和音の切なさを演出する定番コードで、最後まで神秘的な印象を与えます。 バックコーラスが日本を代表するEVEで、上手だなぁと嘆息です。 作詞にプロデューサーが入っているということは、アルバムのタイトルチューンとしてイメージを確立したかったからでしょうか。 「Brilliant Summer」(1987.2.4) 作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 少しブラジルのテイストを取り入れたバラード。 コード進行はBメロの一部を除いて普通で、聞きやすい曲です。 インターバルはブラジルのサンバ調で、切ない曲だけど先行きの希望を感じさせます。 歌詞は恋人に振られた女性が、友達の男性になぐさめてもらう内容ですが、男性が黙って海へ行く高速へ車を走らせ、夏の太陽を見せてあげる箇所が素敵です。 このような情景を描く作詞家ってすごいなぁ。 「Miss Lonely Eyes」(1987.7.15) 作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 コード進行はかなり難解だと思います。 それでも意識せずに聞けてしまうのは、さすがだなと感心します。 今の音楽シーンでこのような良曲は売れないでしょうから、この曲が売れた時代をうらやましく思います。 Bメロのコード展開がフュージョン色が濃く、Aメロとサビをつなぐよい橋渡しをしています。サビのメロディーは、恋多き女性に翻弄された男性の切なさを感じます。最後のバックコーラスの歌詞がまた切ないです。 歌詞もかなり意味深で、当時はこのような女性が多かったのかな?恋人が居ながらバカンス先で行きずりの恋を楽しみ、休日が終わると噂だけを残して消えるような女性が・・・そんなわけないか。 「Stay Girl Stay Pure」(1987.11.18) 作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 カルロス・トシキ時代のオメガトライブを代表する1曲。 シンセのキラキラサウンドとアルトサックスの色気のある音、重厚な音の重ね方が、シティポップスAORの見本と言える良曲です。 カルロスのボーカルも安定してきて、まだ不安定な少年が少女を思いやるといった、未成熟なバランスを表現しています。 Bメロからサビへの展開はジャズ寄りで、なんともおしゃれなコード進行です。 オメガトライブのバックコーラスって、少しハスキーな感じですよね。 「Call Back Again」(1988.4.6) 作詞:青木景子 作曲:和泉常寛 編曲:舟山基紀 編曲がいつもと違う人になっています。 大人のAORって感じの名曲です。 心変わりしつつある女性の心を取り戻そうと、男性が必死に追いかける内容で、その通りじれったいような切なさを与えます。 ブラスセクションを多用した緊迫感があるアレンジも素敵です。 Aメロが秀逸です。 「Slow Boat to Moonlight」(1988.4.6) 作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 曲調が大人のAORなバラード。 最近はマイナーコードへ解決するコード進行をあまりきかなくなりました。 こういうバラードに使うと、切なさ倍増でいい感じなのですが・・・ サビへ向かって華麗な転調をし、サビの最後にまた転調を繰り返し、ドラマチックな盛り上がりを見せます。 プールサイドの喧噪を離れて2人海へ出て、夏の少女の幻影を見るという内容とぴったりの佳曲。 「失恋するための500のマニュアル」(1989.2.8) 作詞:売野雅勇 作曲:カルロス・トシキ、高島信二 編曲:新川博 サンバ調の明るい曲。 ミディアムテンポでアコースティック音源(ピアノ、ブラスセクション、リズムセクション)を多用し、華やかなアレンジに仕上がっています。 作曲はカルロスと高島信二で、彼らもこんな洗練された曲が書けるのかと驚きました(失礼なことを言って申し訳ありません・・・) 内容は真冬のゲレンデでナンパをする友人の男性を見て苦笑する男性で、当時カルロスはかなりもてたと聞きます。 今回の映像をみると、バンドのボーカルとしては全然かっこよくないと思うのですが、普通のおにいちゃんな可愛さが、女性にうけたのかなと思ったりしました。 「Half An Apple」(1989.2.8) 作詞:田口俊 作曲:羽場仁志 編曲:新川博 私的にオメガトライブの最高傑作ではないかと思うのですが・・・ 洋楽でもこのレベルのAORは少ないと思います。 かなり珍しいコード進行が全体に渡って行われ、Aメロ、Bメロともにジャズそのものな印象を受けます。 Bメロのコード進行はかなりしびれます。かゆいところに手が届くようなコードを、これでもかときっちり埋め込み、華麗なサビへと導いています。 羽場仁志はいろんなアーチストに楽曲を大量に提供していて、この人の他の曲も聴きたくなりました。 アレンジはかなり大人向けで、難解なこの曲をさらに上質なAORへと昇華させた新川博の腕前には脱帽です。現在でも通用する完璧なアレンジです。 この曲が収録されている「Be Yourself」は名盤です。ぜひ聴いてみて下さい。 「Be Yourself」(1989.2.8) 作詞:売野雅勇 作曲:林哲司 編曲:新川博 カルロス・トシキ&オメガトライブの最高傑作はこのアルバムだと思うのですが、タイトルチューンであるこの曲は、杉山清貴時代のメイン作曲家によるものです。 アルバムの最後には杉山清貴作曲の「Last Train」も収録されているので、このアルバムで新旧オメガトライブが融合したと言えます。 林哲司と言えば、「ふたりの夏物語」「Transit in summer」の名曲を思い出しますが、個人的には退屈な曲を書く人だと思っています。 私の好みが複雑なコード進行のジャズやフュージョンなので、すごい偏見だと自分でも思っているのですが・・・ この曲はコード進行としては比較的単調なのに、メロディーの力で訴求力があるという点で、素晴らしい名曲だと思います。 歌詞の内容も素敵です。 「アクアマリンのままでいて」」(1988.8.10) 作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:新川博 オメガトライブの代表作の一つ。 ブラスセクションの派手な使い方が印象に残ります。 Aメロとサビがほぼ同じという珍しい構成で、Cメロがかっこいいと思います。 AメロからBメロ、Cメロからサビへと転調を繰り返し、結構難しい曲だと思うのですが、ドラマ「抱きしめたい!」の主題歌になっていたようです。 アクアマリンとは比較的安価な宝石で、薄い水色をした石なのですが、アクアマリンのままでいてとは、どういう意味なのでしょう。 汚れないままでという意味なのでしょうか。 「海流の中の島々」(1988.8.10) 作詞:田口俊 作曲:和泉常寛・新川博 編曲:新川博 「アクアマリンのままでいて」のカップリング曲。 今回初めて聴いた曲なのですが、AORとしてのレベルの高さにびっくりしました。 メインのキーが少し分かりにくく、転調も何度も繰り返すのに、技巧よりも切ないメロディーが印象に残ります。 歌詞の内容から、人が少ない群島を思い浮かべます。豊富な自然に対して貧弱なインフラと雇用より、島を出る人が多いと思うのですが、この曲を聴くとそういう情景を思い浮かべます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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