海への誘い（うみへのいざない）

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車とは色んな思い出がある。
車との思い出は尽きない。
今までかなり酷使してきた。
車体の傷がそれを物語っている。

中でも印象深かったのが、雪の白川郷だった。
もう春だし、雪も溶けていた。
それが一夜明けると信じられないくらい雪が降り積もっていた。
地元の人も驚いていたくらいだ。
もちろん冬装備などはない。
ノーマルタイヤである。
チェーンもない。

高速道路はチェーン規制で走れない。
峠を越えて行くしかなかった。
雪はますます激しく降りしきる。
雪はますます激しく降り積もる。

もうガードレールにぶつかっても良いから、
谷底に落ちないようにしようと必死だった。
一家の命を預かっている。
手に汗握りながら騙し騙し走った。
滑らないように滑らないように。

家族と生死を共にした戦友である。