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カテゴリ:ちょっとした知識
NAONAO3さんから、昨日の日記のレス部分にて、質問を頂きました。また、日記にて回答いたしたいと思います。
ちなみに、こういった内容でした。(抜粋) >私の場合は天然酵母で作りますので、発酵に時間がかかります。時間の経過とともにグルテン膜が緩んでいくということは天然酵母だとどうなのでしょうか?捏ねで必要最大限をねらったとして、その段階ではいい状態でも発酵による時間経過で崩壊しちゃった・・・ということになるのでしょうか? >では捏ねは甘めにして、リュスティックのようにパンチしてグルテンをつないでいく・・・という方法では、やはりそれはリュスティックになってしまうのかしら? >私も目指してるのはクラストはパリパリで固くて、クラムはしっとりシュワシュワ~~って溶けていく食感のフランスパンを天然酵母(出来れば自家製酵母)で作りたいんです。 >私もレーズン酵母ですが、その風味・旨味は生かしたいんです。 まず最初に、自家製酵母でパンを作る為には、前提条件が必要です。 昨日、ちらっと書きましたが、まず、強い種を作る事。そして、乳酸菌と酢酸菌のバランスを整える事(このため、温度管理が大事なのです)。 2002年5月の「長時間醗酵天然酵母フランスパン」を作った時は、醗酵液から、種継ぎなしで、パンを作りました。 通常、レーズンから種を起こし、醗酵液を作り、何度か種次をして、パン酵母を増やし、パンを作りますが、ショートカットしてしまいました。 もちろん、それでは通常よりパン酵母の数が少ないと思われたので、日記には書いていませんが、吸水をすべて醗酵液でまかなうという暴挙に出ました。つまり、前日に醗酵液30%粉30%でポーリッシュ種を作り、本ごね時にあとの35%の吸水の水分は全て醗酵液です。 こうする事により、乳酸菌と酢酸菌の増殖よりも先にパン酵母を醗酵させてしまおうと考えたのです。 結果、普通のフランスパンに近いものは出来ました。しかし、吸水を醗酵液でまかなった為、醗酵液自体の甘さが、フランスパンに加わってしまいました。たしか、様子を見ながら、パンチを2回ぐらい行ったような気がします。このときの醗酵温度も、25度近辺にして気をつけました。 なぜ25度か。これは、乳酸菌と酢酸菌が、バランスよく活動する温度が25度近辺だからです。温度が高くなると、乳酸菌が頑張って、苦くなり、温度が低くなると、酢酸菌が頑張って、酸っぱくなります。 どちらも、突出しては、味のバランスが崩れてしまいますので、25度は大事なポイントです。 それ以前に、パン酵母の力が強くないと、パンが出来上がる前に、乳酸菌と酢酸菌のつくったものがパンの味を支配し、美味しくありません。 自家製酵母系のパンは、良く焼き込むと、美味しさが増すような気がします。 そして、レーズン酵母の風味と書いてありましたが、酵母自体には、風味も旨味もありません。醗酵液が甘いのは、レーズン自体の果糖に由来しますし、種次を繰り返すと、その果糖も、必然的に減って行きます。 自家製酵母の風味とは、結局の所、メインのパン酵母と、乳酸菌と酢酸菌によってもたらされる、と考えたほうが、良いと思います。 もちろん、私のように、醗酵液をストレートに使用すると、レーズンの味もパンに入りますが・・・。 さて、生地の状態に関してですが、これは、自家製酵母のパン酵母部分がどれだけの力を持っているかによって変化しますが、大体の場合、あまり強くないので、ミキシングは若干はやい目に切り上げたほうが良いです。 のんびりのんびり醗酵が進みますので、何度かパンチを入れてあげないと、生地が弛んでしまいます。それを前提に入れて、ミキシングははやい目に。 とりあえず、このぐらいで。 なにか、足りない所があれば、レスを下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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