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カテゴリ:パンの知識
パンチについての質問を承っていたのですが、その前にグルテンについてのお話をしなければいけません。
これを機会に、パンチを中心に、その周辺の知識を整頓して文章にしようかなぁ、と、思っています。 ただし、すべてをからめとってしまいますと大変なことになってしまうので、若干割愛します。 難しいこと(データとか、理論とか・・・)は、研究者にお願いするとして、イメージする上での必要な知識だけあれば、パン作りにおいてはまったく問題ないと思います。 パンチは、酵母の力とグルテンの力の両者を計算に入れて行う必要があるのですが、このサイトでは、まだグルテンについて(小麦の特性について)取り扱っていませんので、先にさらり(?)と書いておきたいと思います。 グルテンの特性をある程度理解し、それが生地にどういった効果をもたらすのかを理解し、最後にパンチの効果を理解すれば、ひとつの道筋が得られるのでは、と、思っています。 グルテンは、小麦に含まれる特定のタンパク質が、水と圧力と出会うことで形成されるものです。このグルテンが形成されることにより、小麦はパンになることが出来ます。 ほかの穀物だけでは、それらがパンらしくならないのは(餅がそうですし、うどんもそうですね。蕎麦も。あと、プンパニッケルのような100%ライ麦パンも)、小麦だけがグルテンの元になるタンパク質を持っているからですし、小麦粉の表示に「粗タンパク」として表示される数字は、パン生地を作る上での重要な数値として捉えられています。 その「粗タンパク」については、重要な数値なのですが、製粉の具合によってタンパク質の含有量は上下しますので、いまとなってはかなりいい加減な数字とも思えるのですが、常識の範囲内ではまだ通用しますので、とりあえずはよしとしておきます。 さて、パンは、そのグルテンが形成されることにより成り立っているわけですが、もしグルテンがなかったならば、パンらしいふっくらふんわりとした食べ口は生まれないでしょう。 もち米をついて餅を作りますが、餅がふっくらふんわりしていないのは、もち米にグルテンを形成するタンパク質が含まれていないからで、もし仮にもち米にグルテンを形成するタンパク質を混ぜ込んで、酵母を加えて餅生地を作り、適度に発酵させ焼成したなら、小麦でつくるパンに似た食べ口の食べ物を作ることが可能です。一般に、「米パン」と呼ばれている食品は、そうやってつくられています。 さて、パン生地におけるグルテンの役割は、酵母の作り出す炭酸ガスを生地の外に逃がさないことです。よく言われているように「網目状の弾力のある構造」で、酵母の作り出すガスを生地内に閉じ込めてしまいます。 パンとしての最低条件は「小麦・酵母・水・塩を混ぜ合わせ発酵させ膨らませ、焼成すること」だとおもうのですが、酵母の働きで発生したガスを生地中に保持するためには、グルテンは必ず必要です。そして、その代用品はありません。小麦だけがそのグルテンを形成するタンパク質を持っていることは、重要なことだと思います。 イメージとしては、建築物でいうところの「鉄骨」や、人体で言うところの「骨」がそれなのですが、建築物や人体は膨張しないので(・・・当たり前ですが・・・)、正確さに欠けるかもしれません。 また、パン生地自体をゴム風船の集合体とイメージすると、そのゴム風船の「風船自体」がグルテンだと考えることもできるような気がします。 グルテンは、水と圧力が加わり形成され、ある点を過ぎると崩壊してしまいます。 これをグラフ化したものが「ファリノグラフ」と呼ばれるものです。小麦を製粉し、それを機械にかけることにより、グルテンの強度を計測しグラフ化したものです。 一般にこのファリノグラフを見ることはまれですが、存在は知っておいて損はないと思います。 また、小麦から抽出したグルテンを利用した食品があります。日本の「麩」がそれです。生麩も焼き麩も、小麦から抽出したグルテンを使っています。 小麦には、タンパク質もでんぷん質も含まれていますが、タンパク質の果たす役割とでんぷん質の果たす役割は若干異なっており、それを理解することも、パンの特性(小麦の特性?)を知るためには役に立つと思います。 さて、次回は、その「グルテンとパン生地の関わり」について、考えてみたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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