復活ラーメン屋さん
数日前にテレビを見ていたら、あるラーメン屋さんの放送をしていました。昨年の豪雨災害で被災したお店がリニューアルオープンした・・・という内容でした。(あれ?このお店って・・・)慌ててテレビを録画して、仕事から戻って来た主人に番組を見せて確認しました。「このお店って、もしかしてあの時のお店だよね」昨年の秋、紅葉を観に行こうと主人と一緒に佛通寺へ行きました。まだあちこちに七月の豪雨災害の爪痕が残っている中、2号線道路際にひときわ悲惨な場所がありました。近くの川から流れ込んだ大量の土を取り除くためか、敷地内には大きな重機が入っていました。(何のお店かねぇ・・)とよく見ると、泥で汚れた看板からかろうじて元ラーメン屋だったんだろう・・・と思われました。でも、そのあまりの悲惨な現状に(これは建物は取り壊してしまうんだろうな・・・)とその時は思いました。主人に「ちょっと遠いけど、今度のお休みにここに連れて行って」と言いました。あの豪雨災害の後、あちこちの被災地を見ていても、ボランティア活動など何もできなかった私。せめて食べに行くことで売り上げを応援できたら・・・・と思ったのです。夫婦二人の飲食代なんて、たかがしれているだろうけれど・・・行かずにはいられない。初めて訪れたお店は、被災時の状態はみじんも感じることができないほど、とても綺麗になっていました。午後の営業開始時間ピッタリにお店に行くと、お客はまだ私達二人だけでした。メニューには被災した時の状況と、12月にお店を再オープンするまでの軌跡が写真と共に掲載されていました。私達が注文したのは、尾道ラーメンと餃子とタコの天ぷら。三原市は瀬戸内海でも有数のマダコの産地。試しに食べてみようと注文したんですが、プリップリの食感はとっても美味しかったです。そしてこのラーメン。 いくらお店を応援したくても、美味しくなければ自分のブログで紹介しないんですが、私がこれまで食べた尾道ラーメンの中では、かなり美味しかったです。料理は愛情って言いますよね。でも最近の飲食店では愛情が感じられる料理には、なかなか出会えないです。ただ空腹だから仕方なしに食べてお腹を膨らませて、それに見合う料金を支払っているだけで、食べ終わってお腹は満たされていても心は虚しいっていうお店ばかりです。そういう「虚しさ」は少しずつ心の栄養を奪っていくような気がするから、そんな料理を出すお店には、よほどお腹が空いて他に行く店がない時以外には、できるだけ行かないようにしています。ところが今回初めて訪れたこの店のラーメンのスープを飲んだ瞬間。目の前がバーッと開けた感じがしたんです。この感覚は本当に久しぶりでした。このラーメンを作った人の渾身の気持ちがスープに込められている・・・と思いました。じわぁ~と喉元からお腹に何かが染み渡っていく感じがしたんです。 (美味しい・・)と心から思いました。支払いを済ませて帰ろうとする時に、店主らしい方が奥の厨房から出て来られました。目が合ったので、何か声をかけてあげれば良いのでしょうが・・・私は人見知りなので何も言葉が出てきませんでした。だだ心の中で(美味しかったです。頑張ってください)と思いながら小さく拳を握りました。店主は分かって下さったのか、笑顔で会釈をして「ありがとうございました。」と言ってくれました。帰りの車の中で「美味しかった~ 近いうちに絶対またここに連れてきてね!」と主人にお願いしました。