カテゴリ:本
出張先の地方都市にて。
駅ビルの小さな書店でその本が私を呼んだ。 「西の魔女が死んだ」(著:梨木香歩 新潮文庫) 先日手元に贈られた宮迫千鶴さんの「魔女の森へ」を読んでからというもの、私の将来の目標?は、「魔女になること」に定まりつつある(わくわく)。 そんな私にとって、この本は「魔女つながり」の素敵な出会いであった。 以前からこの本は友人から「すごくいいよ!」と、すすめられていた。 でもなかなか縁がなかったのよね。 そして、なぜか浜松市の小さな書店で出会い、帰りの電車の中で一気に読んでしまった。 学校に行けなくなった中学生の女の子(まい)と、そのおばあさんとの物語。 魔女とは、つまりそのおばあさんのことなのだけど、まいはおばあさんから魔女になるてほどきをうけていく。 住み込みでの魔女修行。 その修行過程がとても素敵なのです。 魔女になるのに大事な修行は座禅や瞑想ではなくて、なんと早寝早起き、規則正しい生活、そして掃除や洗濯などの家事全般! そこでまいは、ジャムの作り方、シーツのたたみ方、そして虫除けの薬草茶の作り方と使い方、などなどを身に着けていく。 森の中の植物の名前を知ること。 自分だけの居場所を作ること。 外部からの刺激にふりまわされずに、自分で決めること。 魔女(おばあちゃん)は言う。 「庭は毎日変化します。 そして仕事をします。 私はそういう毎日のほかにどんなことも望みません。 変化を前もって知ることは、私からサプライズの楽しみを奪います」 魔女になるたしなみとは、俗なる連続である日々のいとなみを、あたたかい聖なる時瞬間に変えていくことに他ならない。 たとえそれが「死」を迎える瞬間でも。 この時代、その魔法を伝えられるのは、老いた女性だけなのだ。きっと。 女が年を重ねていくことは、こんなに尊い役割をになうということなんだ。 しかしこの物語には、俗なる世間の差別も出てくるし、「あなたの考えはもう古い」という娘世代からの批判にさらされる老女の一側面も出てくる。 (私は、こういうエピソードがちゃんと描かれているところがすごく大事だと思う) そんな現実の中でも、魔女として聖なる時間を生きることができるとしたら。。。。 電車の中で、涙が止まらなくて困ってしまった。 地に足の着いた「魔女修行」がしたい方、必読の書です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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