カテゴリ:本
「都会の狭い空の下、我々ベランダーはいつだって必死に植物の世話をし、枯らしてしまってはため息をつく。
そして何度も何度も花屋の店先に向かう。 だが、それでいいのだと俺は言いたい。 枯れることもまた、植物の生命の一サイクルなのだから。 延命出来るに越したことはないけれど、我々と別種の生命は思い通りには動かない。 それがコントロール不可能であることを、我々は身をもって知る。 つまり、園芸は植物を支配することではないのだ。 むしろそれが出来ないことを教えてくれるのである。 枯れてしまった植物に、だから俺は感謝を捧げる。 手の出しようもない命の数々に、俺は感謝する。 ありがとう。 そして、さようなら。」 (「自己流園芸ベランダ派」毎日新聞社:いとうせいこう著)「終わりのご挨拶」より抜粋 いとうせいこう。 私と同世代である彼の動向には、いちいちシンパシーを感じてしまう。 彼のブログを読んでいると、現在はビルマ民主化について、相当本気で考えて行動しつづけているもよう。 さて、この本「自己流園芸ベランダ派」は、園芸エッセイの領域を越えてもはや「いのちの書」である。 巻末の伊藤比呂美姉御との対談がまた秀逸。 伊藤姉にこてんぱんに料理されているせいこう氏。 ベゴニアやポトスの話から、ジェンダーの話にハイデッカーから般若心経に壮大につながる(笑)やりとりを、心底楽しんだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.07.31 21:03:20
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