カテゴリ:本
昨年急逝された、大好きな宮迫さんの遺稿集。 「楽園の歳月―宮迫千鶴遺稿集 」(清流出版) どきどきしながら、少しずつ読んでいった。 「ちょっとばかり、大きな病気に遭遇してしまった」とはじまる、「わたしの『津波』」という文章が、胸に沁みる。 「痛みとの戦いが少しおさまってから最初に考えたことは、『過去をすべてガンジス川に流そう』ということだった。 病気の原因を過去の人間関係に探るというのは、手のつけようのない作業だ。 かりに過去の何かが大いなるストレスになっていても、それをあらためて責める意味がない。 それよりも過去をすべて手放したほうが、さっぱりする」 ガンジス川に流すってところが、スケールが大きいなあ。 私は思わずうふふと微笑んでしまったのだ。 私も、過去はもうすべて流してしまおう。 それも近所の川とか三途の川とかのちまちまとしたのじゃなく、ガンジス川くらいデカイ川がいいね。 きっと私の煩悩が、豪快に流れて行ってくれるだろう。 宮迫さんは、彼女を襲った突然の病を、「『津波』と呼ぶことにした」と書いている。 「これから治療の日々が始まる。 だが、さして憂鬱でもない。 いつ人生が終わってもいいように生きて、人生の細部を楽しんでいこうと思うからだ。 幸い、いま何を食べても美味しい。家族や友人とともに、美味しいテーブルを囲んで、 そのことを最高の幸福であるように過ごそうと思う。 『津波』は大きなものを押し流していったが、それでも海はきれいだもの」 お連れ合いの谷川さんによると、宮迫さんは病床で「あっちの世界もおもしろそう」と言ってらしたとか。死を、ほんとうに恐れていなかったとのこと。 今となっては、ほんとうのところはわからない。 でも、自らの病も、死をも、祝福として受け入れられていたのではないかしら。 宮迫さんの絵を部屋に飾ろう(と、たった今思いついた)。 陽気で喜びに満ちて、そして静かな彼女の波動を、近くに感じていたいから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.02 08:49:06
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