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カテゴリ:伊豆各地
●ジオパーク大室山の講演会 伊豆高原の後方にデーンとそびえている「大室山」についての研究成果の発表会があった。 ジオ検定2級の保有者としては参加しないわけにはいかない? 昨年伊豆半島のジオパークが再認定された記念として「プリンの不思議に迫る 大室山研究発表会」と題し、伊東市観光会館別館で3時間半の講演会となった。 約4000年前に噴火して形成された大室山は、「お椀を伏せた形」と呼ばれているが最近は「プリンの形」と呼ばれるようになったようだ。 参加は無料だが、数日前からの事前予約が必要だったのでパソコンで予約した。 当日は130名ほどの参加があり会場はほぼ満席の状態だ。 ほとんどはジオパーク検定の保有者であったり、ジオガイドをしている人々のように見えるが、我が街自慢の大室山のことなので興味があるのだろう。 今回の講師は3名で、「伊豆の大地の物語」の著書やジオパークに関する後援会、タモリ倶楽部などのTV出演でおなじみの静岡大学の小山真人氏を始め、東大研究員の根元正之氏、宮本成悟氏などが分かりやすく説明をしてくれた。 内容はプロジェクターを使い、まるで大学の講義のようで物理学や地質学の難しい言葉や手法を説明されるのだが、参加者は理解しようと真剣な顔つきで聴いている。 最初に大室山を所有しリフト事業をしている「池観光開発」から挨拶があり、700年前から良質のカヤをとるため、春に山焼きを行っていることや、生育の悪い部分には土や肥料を追加し年間700万円を投じていると話していた。 これに対し、農学博士の根本さんの講義では、実際に大室山での実験観察の結果として、山焼き時の温度による植物に対する影響は無いことと、リフトができる前は山に登ることができ、ワラビが採れてノハラアザミやオミナエシ、キキョウが多く見られたという。 その当時のように「日本らしい自然」を復活させるため、化学肥料や外部からの土を入れることにより外来種の植物が増えることを阻止するべきだと話された。 次の宮本さんの話は、大室山の誕生からこれまでの経緯は研究されているが、山の内部に関しては誰も推測の域を超えていなかったのを、宇宙線を利用して世界で初めて解明することができたとの研究報告だった。 大室山の形成は、噴火時に噴き上げた火山弾やスコリアが積もって安息角と言われる30度の角度を保ち綺麗な形になっている。 中心にはマグマが噴き上げた火道が残っているようだが、誰も確認したことはなかった。 これを遠い宇宙から降ってくるミューオンという宇宙線を、大室山の全周に設置したフィルムに焼き付けることにより山の内部を三次元化することに成功したのだ。 簡単に説明してくれたのは、大室山をレントゲン撮影したようなもので、地下1kmもの物質を突き抜ける宇宙線の特性を利用することで、スコリアの柔らかい地層と、マグマが固まった固い地層の境界がはっきり表れたのだ。 これらの結果を見て判断したのが小山教授で、大室山の内部下方には3方向に溶岩が流れ出て、伊豆高原や城ヶ崎海岸の台地が作られたことが証明されハッキリしたと話された。 なお、山頂にはマグマ溜まりによる火口湖があったが、横から噴出したため下がってしまい、大室神社にマグマが残った岩となっていることや、小噴火口と「狐のお宿(俗称 狐の最後っ屁)」と呼ばれる洞窟は、最後に内部に溜まっていたガスが噴出した跡だったと面白い話も聞くことができた。 今日は、大きな収穫があったと参加者は喜んでいたようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023/02/26 06:33:07 AM
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