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雪香楼箚記

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アンスカ国文学会


2007年04月03日
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カテゴリ:カテゴリ未分類



紀女郎が大伴宿禰家持に贈れる歌二首
戯奴(わけ)がため我が手もすまに春の野に抜ける茅花(つばな)ぞ食(め)して肥えませ



 万葉集巻八にある紀女郎の歌。「戯奴」は相手を戯れて呼ぶ言いかた。「すまに」は休めることなくいそがしく。「茅花」は茅(ちがや)の穂のことで、晩春のころに花穂をつけ、食用になります。
 贈った相手、大伴家持は、言うまでもなく、後期万葉を代表する歌人です。女の人によくもてたらしい。しかも、年上の女の人に。紀女郎の生年ははっきりわかりませんが「神さぶといなにはあらずはたやはたかくして後に寂しけむかも」(年を取っているからというだけで、嫌というわけではないのです。ただこうした後に、さびしく思うようなことがあったら、と思うと……)という歌を家持に贈っているところを見ると、十歳か二十歳の年齢差はあったことはたしかでしょう。
 二人の恋は万葉に伝えるところが少なすぎて、あまりよくわかりません。ただ家持が紀女郎とよほどに親しいあいだがらであったことは、この歌を見てもわかります。年上の女の人から「戯奴」と呼ばれるような関係が、ふたりのあいだにはあったのでしょう。「我が手もすまに春の野に抜ける茅花ぞ」式の言いかたは、万葉の恋歌によく見られるものです。だから、二人はほんとうに恋仲であったともいえるし、あるいは恋歌めかして戯れの歌を詠んだとも言えるのですが、ここはやはり姉と弟のような恋があったと考えてみたいような気がします。戯れめかして言いまぎらわしてみる余裕が、二人の恋にはあった。「食して肥えませ」などはその典型です。
 あるいは、戯れめかさなくては気持の落ちつきどころを失ってしまいそうな、女の人のこころ――年下の恋人を持ったということで――が、この歌のなかにあらわれていると考えることができるのかもしれません。しかし、もうすこしのびやかなものを、ぼくは二人のあいだに見たいと思う。のびのびと恋をし、愛し、愛されて、だからこそじゃれあうような恋歌を応酬できる間柄です。
 一首はまず恋歌のパロディであるけれども、その下に紀女郎のやさしい恋心が透いて見えていて、そのあかるいかろやかさと思いもかけず澄んだ情感が、二つながら韻律のうちを満たしてゆきます。





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最終更新日  2007年04月03日 17時47分40秒
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