中坊さん
先日京都駅の新幹線ホームで中坊公平さんを見かけた.そう,日弁連の会長までされた有名な弁護士で,最近では不良債権問題を扱った住宅金融債権管理機構の初代社長を務め,古くは森永砒素ミルク事件,豊田商事事件などの社会的にも非常に影響があった事件の主任弁護士として活躍された方だ.今でも豊島不法廃棄物事件などに関わっておられると聞く.僕は大学の大分上の先輩に当たり,しかも経営者塾(盛和塾)での勉強会で講演を聞かせていただいたのが唯一の直接の接点である.昨年,住宅金融債権管理機構の社長時代の債権回収方法が問題となって監督責任を取って弁護士業を廃業されたのだが,その後どうなったのかなあと気にはなっていたのだ(無給で社長を務めしかも結局私腹を肥やした訳でもなくとして不起訴になった).この事件があってそれまで社会の救済者のように崇め奉っていたマスコミが一転,一斉非難へと論調が変わった.国民の税金での負担を最小限にするために,様々な脅迫にも体を張って耐えながら不良債権の尻拭いをやってきたのに,少しでもグレー部分が出てくるとそれが今度はニュースバリューになってしまう.債権回収の相手は金融機関が匙を投げた限りなくブラックに近い筋が殆どで,僕からするとそいつらから債権回収となるとそりゃ多少グレー部分は残るのだと思うし(勿論そのリターンは公的機関である住専回収機構ではなくて国民の負担が減るという形で還元されている),そんな些細なことで一転非難するってどうかなあと同情する.他山の石として多分気をつけないといけないのは,どんなに立派なことでも足をすくおうとしている勢力が必ずいるってことだ.そこに何の同情もないしあるのは単なる悪意だけかも知れない.会社経営をしていても,「顧客のためになり社会のためになり社員のためになり」ってことを一生懸命やっていてもそれはそれ,非難されるときは非難されるし潰そうとする勢力も出てくるのだろう.ところで中坊さんだが,見かけた際はお付の人を連れてパシッとしたスーツ姿で精力が漲っているように見えた.足元に何とか中学っていう張り紙のある箱が並べてあったからボランティアで教育関係のお手伝いをされているのかも知れない.そう,いくら足元をすくわれたって,それで潰されずへこまず信念を持って人生をまっとうするって大事だよな.そう言えば昨日たまたま見た深夜テレビ映画の台詞で「如何に自分に不利なことであっても信念を通すことが大事なことがある.それによる損失は自分にとっては大きいかもしれないが,歴史上の出来事からすると小さなことです」っていうのがあった.そうだよなあ,目先の賞賛とか非難とか気にせず,舞い上がらず反論をせず,自分の信念を貫く人生を送りたいと思う.