顧客接点で考える
いくら立派なオフィスを持っていようと,いくら会社で残業しようと,また大会社であろうと立派な社是や社長室があろうと,顧客にとっては目の前の商品や営業担当者が「自分にとってこの瞬間ベストな存在」でなければ何の意味もない.目の前の商品・サービス・情報が,その顧客にとって価値のあるものでないと,背景にある上記のような「コスト要因」が如何に大きくても,そんなことで威張っていても顧客には何の意味も持たないのだ.この意味でビジネスはすべて個々の戦闘レベル,つまり細部の各論勝負で勝っていくかが大事だと言える.そして企業は各論を充実させるためにどのような投資を行っていくかをゼロから考える必要がある.オフィスの椅子を買い換えるのが顧客にどのような価値を持つのか(快適に座れた方がいい声が出る?),オフィス内のスリッパを止めて外履きに変えることが顧客に評価されるか(外の緊張感を会社に持ちこめて仕事が充実する?それともスリッパでリラックスした方が提案書がうまく書ける?),掃除を社員がするか外注に頼むか(自分たちでした方がチームワークが良くなり,顧客対応力が向上する?),その研修会に出席することが顧客にとって良いことなのか(どこでその情報・経験を生かして顧客に伝える?),様々なことを考え直した方がいいと思う.そして顧客接点を改善するために,どのような会話が顧客との間でなされたのか,全員で共有して知恵を出し合う工夫も必要だ.顧客から評価されないと企業は成り立たないのだから,その顧客とせっかく接触できたという「企業資産」を最大限有効活用するには,担当者一人の「個人的経験」に終わらせずに,多くの人数で疑似体験してみて,皆で知恵を出し合うことが,「一粒で何度もおいしい」経営の仕方だと思うのだ.今のそのことが顧客にとってどんな意味を持つのか.そのコストを顧客は喜んで払ってくれるのか,折角の顧客接点を最大限有効活用しているか,また振り返って考えることにしよう.