シュート練習から始める
リアルな経営戦略を考える場合,「シュートの場面から始める」ことが大切だと思う.(またまた)水球の試合の場合,試合に勝つ為には相手より多くの得点を取る(シュートを決める)ことが必要だから,練習も戦略もまずシュート場面でどのようなシュートを打つかを想定して練習をする.その次に,そのシュート場面に持っていくにはどう展開すれば良いかを一手前に遡って練習を行う(例えばアシスト⇒シュートの練習).その次は,また一手前(たとえば中継⇒アシスト⇒シュート),さらに一手前(たとえば敵ボールからマイボールになった場面⇒中継⇒アシスト⇒シュート) と,繰り返し遡って戦術を立て練習を行う.なぜシュートの場面から想定して逆算して練習を行っていくのかと言うと,そうしないとその前の段階を構成する一つ一つのプレーが「温くて使えないもの」になってしまうからだ.シュートの場面を想定しないでパスの練習なんかしても意味がない.シュートの場面はディフェンスにもマークされて厳しいことが多いから,その厳しいマークをかいくぐる様なパスの練習をしないと使えないからだ.その意味で,「プールサイドでの準備体操」がいくらうまくなっても,シュートはおろか泳げさえもしないのだから,試合に勝てるはずもないってことだ.そう言えば最近凝っているマラソンの練習だって,42キロという距離を想定しながら5キロ走るのと,ダイエットのためとか言って同じ距離をジョギングするのとでは全然効果が違う.どっかの広告に出ていたんだけど,「痩せるために走っても痩せない.マラソンにエントリーしてから走れば痩せる」ってのがあった.まさしくその通り,最後の厳しい場面を想定するのとしないのとでは全然効果が違うのだ. さて,もちろんこれは会社経営も全く同じこと.最終的に顧客が当社を選択して商品を発注するという場面を想定し,そのインセンティブは何か,顧客は何を求めているのか,求めているものを提供すれば購買してくれるのか,そのメッセージを伝えるにはどういう営業手段が良いのか,そのためにはどういう人材が必要なのか,ということをいちいち「遡って考える」べきで,「製品開発⇒営業活動⇒販売」という「順に考える」のではないのだと思う. まあプールサイドでの準備運動も,「試合に勝てる準備運動」を意識してやれってことですね.