景色が変わって見える
何事もやってみるまで,行ってみるまでは実際どうなるか分からないものだ.やるまではあれやこれやと検討しながら,結果をある程度予測しながら実行に移すのだが,実際にやってみると,予測もしなかった事態,予測もしなかった結果が待っていることが多いと思う.そう言えば昨年訪問したパレスチナでも,昆虫の専門家でもない僕がオリーブミバエ防除関連のプロジェクトでなんの役に立つのかと思ったのだけど,結果的には現地の適切な準備もあって,イスラエル・パレスチナ・ギリシア・日本の専門家を巻き込んだ共同プロジェクトが走り出すことになった.この時も,たまたま出会ったイスラエルの専門家が親切な人であったり,丁度良い現場が当NGOの管理下にあったり,日程がたまたま空いていたりして,予想外にうまく事が運んだのであった.「たまたま」とか「予想外に」とか言うのは,行ってみるまでは分からない.ビジネスの世界だって,中期経営計画なんててんで当てにならない.来月のことも分からないのに,5年計画を立てても全く無意味だ.そしてやってみたら「違う景色」広がっていて,スタートしていた時に想定していたこととはまるで違った展開になることがよくある.良い意味でも悪い意味でも「想定外」と言うのが普通であって,「その事業は3年後の売上はどうなるのだ?」という管理職の質問ほど,また無意味なことはないと思う.それより大切なのは,少しでも実際に「やってみること」,「行ってみること」だと思う.これは言葉を変えた「現場主義」かもしれないが,何しろやってみなけりゃ分からないのが,ビジネスに限らずこの世の常,人間の限界であり世の中の面白いところだと思う.そこで大事なことは,「最小限」で始めることだと思う.とかく大企業は,十分なお金をかけて売上も相当大きい「大プロジェクト」じゃないと話が始まらない.「やってみなけりゃ分からないプロジェクト」はそういうのに馴染まないから,これは中小企業の得意技,取り柄なんだと思う.当社も「小さく始める,やってみなけりゃ分からんプロジェクト」に精を出していきたいと思う.こういう機動性こそが,面白さであり当社の存在意義だと思うから.