足るを知る
僕は今まで「足るを知る」という意味を余り分っていなかった様に思う。僕のこれまでの理解では、「現状の状態に満足しなければならない」、「もっともっとと欲を言い出せば切りがなく、結局いつまでも幸せになれない」位に考えていた。しかし本当の意味はそれとは違うことに最近気がついた。「足るを知る」の意味は、特段不足する訳でもなく、自分が最低限必要なものや環境、人、特に家族や社員に恵まれている場合、実はそれが本当の幸せ、最高の幸せであって、それ以上を求めると幸福度が下がっていくのみならず、元々あった幸せな状態までもぶち壊しにしてしまう可能性があるということだと思う。会社がまあまあうまくいっていて、このまま慎重に経営すべき時に、もっともっととひたすら成長を追い求め、背伸びして投資を増やしたり異業種に進出したりしたらどうなるか。出来ていたことも出来なくなり、新事業はもとより、会社を支えてきた既存事業もおかしくなってしまう。周りの人々に満足しているのに刺激を求めて社交的に色んな多くの人々と、交遊とも言えない軽い交友関係を広げていけばどうなるか。結果として周りの本当に必要な人へのエネルギーが削がれ、結局は周りの人でさえ幸せにすることも、自分が幸せになることも出来なくなってしまう。これらは足るを知る、いや、現状の何でもない地味な状態が実は最高の状態であることを知らずに、徒にもっともっとと求めた結果、自身の幸福度もどんどん下がっていく現象ではないか。当社も僕も、足るを知る、足下を固めてゆっくりでもいいから確実に成長し、周りの人、目の前の顧客を幸せにしたいと思う。そこから長期的な成長も、もしかしたら飛躍的な成長も生まれるかもしれない。決してもっともっとと、私欲や煩悩、虚栄心に動かされてはいけないと思う。