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「Cast off ~小さな君のその手を抱きしめるために~」

「Cast off ~小さな君のその手を抱きしめるために~」

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2007.10.22
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カテゴリ:Cast Off

どうしても踏み込めないのは彼の存在

信頼関係や深い繋がり無ければ

そこまでの行為は出来ないだろう

経験上でそれを察していた

気持ちは止めどもなく揺れているのに

どうしても伝えられない気持ち

もっと気軽に気持ちを伝えられたらいいのに

 


ある日

彼女が遠くに引っ越す事を聞かされた

単身赴任だった旦那さんの元に引っ越すと

当時は会おうと思えば会える距離に住んでいた

最後の週末に

それとなく彼女からそんな話もあったが

それも儚い夢と消えた

会いたい気持ちは強かったが・・・

 


もし会っていたなら

話の流れから身体の関係を持っていただろう

そんな事は容易に想像できた

身体だけの関係が目的なら

彼女の誘いに乗ってしまえば

ある意味楽だったのかもしれない

でも・・・

どうしてもそれが出来なかった

 


肌を合わせてしまったら

ここまで積み上げてきた彼女との楽しい時間が

音を立てて崩れてしまい

昨日までの何でも話せる関係に

戻れなくなってしうのではないか?

そんな不安な気持ちを抱いてしまった

 


それと・・・

どうしても彼の存在が気になっていた

嬉しそうに彼との話をする彼女

その間に割って入る勇気がなかった

2人の関係を応援したい

そんな気持ちが何処かにあったのだろう

少しでも彼に不満を持っている素振りを見せたなら

もっと違う考えになっていたのだろうけど・・・

 


悩みに悩んだ結果

肌を合わせる事よりも

ブログやメッセンジャーで

気取らないで会話する方を選択した

彼女との時間は

千蔵にとって

既に何ものにも代えがたい

大切なモノとなっていたからだ

 


話せば話すほどに彼女の魅力に惹かれていく

彼との情事を幸せそうに話す彼女

文面からそれがキラキラと伝わってくる

それがたまらなく楽しい時間なんだろうと

彼女とそこまで出来る彼が羨ましいとさえ思えた

何で知り合ったのが千蔵が先じゃなかったの?

掌からこぼれ落ちる砂のように

時間は誰にも止められない

そして戻す事も出来ない

意味もなく

メッセンジャーの画面を見つめ悔やんでみた

そして彼女は遙か彼方の地にその面影を消した






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Last updated  2007.10.23 06:23:55
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