「Ｃａｓｔ ｏｆｆ　～小さな君のその手を抱きしめるために～」

車を降りてタクシーを拾って帰ろうかと・・・

でも・・・

ここで降りてもタクシーを拾うのも難しい・・・

そんな葛藤をしていたら

「何処に向かったらいいの？」

ここで帰るなんて言ったら大人げないじゃない

変な所で負けず嫌いだったりします（苦笑）

深夜営業をしているレストランに入りました

彼女は相変わらず自身の性体験を語り出す

いやね・・・

それは構わないけどさ

そう言う話をするなら

さっきみたいな行動は慎んで欲しいよ

千蔵は男目線で話を聞いていた

嫌～なモヤモヤがまだ胸に残っているしね

挙げ句の果てにさ・・・

男を紹介してと来たものだ

千蔵を拒否っておいてそれはないだろう（苦笑）

適当な時間でお開きにする事にして

彼女のナビシートに乗って帰宅する事にしました

帰りの車の中で・・・

「もっと強引に誘ってくれたら・・・」

『あのね・・』

「何？」

『あんなに激しい口調で言われたら引くよ』

「だって・・・」

『何よ？』

「簡単な女だって思われたくなかったし」

『程度の問題があるでしょう』

「そうだけど・・・」

『だけど何？』

「一度断ったくらいで引かれたら・・・」

『だから断るにも程度の問題だって』

こんな会話をしていると

千蔵のアパートの近くまで車は来ていた

『じゃ、今からエッチしようって誘ったらするの？』

「うん」

『おいおい・・・』

「先輩、エッチしよう」

『嫌だよ』

「何で？」

『あんなに激しく拒否られたからね～』

「エッチしようよ」

『だから嫌だって』

「本当にしないの？」

『そこで車を駐めて』

彼女の車から降りて・・・

背中越しに手を振った