肌を重ねると深まる情もある・・・
しかしながら・・・
重ねたことによって覚める情もある・・・
メールのやりとりを数ヶ月繰り返し・・・
「逢ってみたい」
そう言われた週末に彼女と逢うことになった
クリスマスも終わり
押し詰まった年の瀬に
彼女は新幹線に乗って逢いに来た
コートの襟を立て
凍てつく寒さのをしのぎながら
夜の改札で彼女の姿を探す
水色のコートに白いブーツ姿の彼女を見つける
画像の交換はしていない
初めて目にした彼女は
恥ずかしそうに笑う顔が可愛らしい女性だった
聞くところによると
看護師を職業としているらしい
その可愛らしい笑顔で看護される患者さんが
羨ましいと思えるほど
彼女の笑顔は素敵だった
遠距離の旅を労う声を掛けると
更にその笑顔が弾けた
お泊まりする約束は既に逢う前から決まっていた
まぁ・・・
お互いにチャレンジャーだと思う
相手の姿を目にすることなく決めた事だから・・・
写メマジックを経験した後なのに
我ながら激しいチャレンジャーだと思わないでもないが(笑)
学習しないと言うか・・・
こんな時に千蔵ってもしかしたらMなのかと思う瞬間である
彼女が千蔵に抱いた印象は・・・
聞きはしなかったが
さほど悪い印象ではなかったらしい
彼女の積極的な態度を見たら
如何に鈍感な千蔵でもそれくらいはうかがい知ることは出来る
駅前のレストランで軽く食事をすることにした
文字と声のみで想像していた彼女が
千蔵の話に表情をほころばせ
時にはお腹を抱えて笑う
いい娘だな・・・
そう思っていた
肌を重ねる前までは・・・ |