後ろから抱きしめられたまま
二人だけの時間を止めてみる
振り向きたい衝動を抑え
背中と腰に彼女を感じていた
彼女の腕の力がゆるんだ瞬間に
そっと重なった唇・・・
瞳を閉じた表情が柔らかい
唇はそれ以上に優しかった
何度も重ねた唇から
吐息が逃げ出す
その吐息を逃がさないように
何度も重ね合わさる気持ち
彼女をそっと抱き上げベッドに横たえる・・・
「シャワーを浴びたい・・・」
かすかな声を聞く
『そうだね』
するりと彼女が千蔵の腕をすり抜けた
閉じていたシャワールームから
彼女の声が聞こえる
何を言っているのかな?
『何?良く聞き取れないよ』
「千蔵さん、一緒に浴びませんか」
断る理由を見つけられなかった
彼女の素肌は何処までも白く
そしてきめ細やかだった
身体に優しく叩き付けるシャワーも
綺麗な玉となって弾かれた
こんな素敵な娘と・・・
出会ったばかりでベッドを共にしていいのかな・・・
彼女の素肌を洗い流しながら
漠然と考えていた
肌を重ねるまでは・・・