穏やかな刻の流れだったのに・・・
時間は容赦なく追い越していく・・・
魔法に掛けられたような素敵な刻と時間の狭間・・・
茜に染まる境界線のない空と海・・・
アクリル越しに2人で見つめた大きな水槽・・・
数時間前の景色が15年前の記憶を塗り替える
ハッピーバースデーが流れる2人だけの空間
気分はまるでシンデレラ
24時の鐘の音を聞きたくなかった
時を刻む全てのモノの・・・
どうか眠りについて
別れ際・・・
抑え込んだ愛しさが・・・
激しい感情となって込み上げる
もう2度と会えないかもしれない
左手でシートベルト外し
『ごめんね』
貴女を引き寄せ
そっと重ねた
優しく柔らかい唇
それ以上触れられなかった
もっと心を重ねたかったのに・・・
でも・・
出来なかった・・・
たった一度だけの貴女の唇・・・
見送るテールランプが視界から消えるまで
両手を振り続けた
いつかまた・・・
貴女の笑顔に触れたくて・・・
1人のベッドで何故か涙が溢れた・・・
貴女に見せることのない涙はきっと深い蒼・・・
2人で見た海のように・・・