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2007.12.05
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とある新聞に載っていたヴァンフォーレのコラムです。


「意思疎通欠いた現場とフロント」

◇退任発表に「残念」と大木氏

ヴァンフォーレ甲府(VF甲府)のJ1・2年目は、J2降格という厳しい結果で幕を閉じた。

「奇跡」と称された昇格から2年。これまでにない攻撃的なスタイルで存在を全国に印象づけ、地域を大きく盛り上げた。一方で、来季は大木武監督が去り、新しい指導者の下で再出発する。転換期を迎えたVF甲府の今、そしてこれからを考える。

「最後までこんなことをするなんて。残念だ」。「退任」のニュースがメディアで報じられた先月30日の練習後、指揮官はつぶやいた。大木監督は前日、運営会社「VF山梨スポーツクラブ」の海野一幸社長と会い、「今季限りで辞めてもらう」と告げられていた。

大木監督は、海野社長にJ1の最終戦が終わるまで公表を避けてほしいと訴えた。海野社長も降格が決まった柏戦後、「監督の進退はすべて終わってから」と最終戦後にすると明言していたが、最後の要求は受け入れられなかった。

「新聞に載った後に言えないよなあ」。大木監督には、公表前にスタッフや選手に自分の口から伝えておきたいという思いがあった。大木監督の表情には、フロントへの不信感が浮かんだ。

これまでも、戦力補強に関するマスコミ説明で現場とフロントが食い違いをみせるなど、しっくりしていない部分をうかがわせた。「シュート1本につき、打った選手に5万円」。現場の知らないボーナス話がスポーツ紙に載ったが、指揮官には「現場の気持ちが全然分からない足を引っ張る行為」と映った。

一方、海野社長も「自分たち(フロント)はサッカーを分かっていないと思って、何を言っても監督は耳を貸さない」と、非難することも少なくなかった。

降格した最大の要因は、昨季オフに退団し、今季はガンバ大阪で20ゴールを決めたFWバレーの抜けた穴を埋められなかったことだ。

アルベルトら新外国人選手の不調や茂原の出場停止による長期離脱など、シーズンを通してFW陣を固定できなかった。選手から絶大な信頼を得ていた元主将・倉貫らの移籍も大きく響いた。

FWの総得点は茂原6、石原5、須藤4、アルベルト3。ショートパスをつないでボールをゴールエリアまで運び、ゴールに迫る場面はたびたびあったが、得点に結びつけられず、サポーターにとっては「バレーがいたら」と、唇をかむ場面が多かった。

ただ、選手からは大木監督が作り上げた「甲府スタイル」に対する迷いは最後まで見受けられなかった。DF池端は「点が取れないだけが理由ではない。惜しい試合や勝てる試合で、守れなかった部分もある。でもこのサッカーに自信を持ってやっていた」という。

所属チームに解雇されたり、セレクションで入団する選手が占める寄せ集めのチームだけに、大木監督の統率力も欠かせなかった。降格が決まっても、大木監督は「ミスを減らせれば、もっとできたはず」と、甲府スタイルの伸びしろに思いをはせていた。

最終戦終了後、海野社長はサポーターに「1年で必ずJ1に戻る」と約束したが、選手との信頼関係を築き、攻めのスタイルを貫いた46歳の男が事実上解任された事態に、今後の不安を口にする選手も少なくない。

サポーターと選手に支持された「魅せる攻撃サッカー」。後任のチーム作りを託される監督にとって、難しい船出となることは間違いない。






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Last updated  2007.12.06 13:22:05
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