叔父のゲイブがタリノ協会の集会に参加する。
リムウェイ暦1414/プリマ月/30 叔父のゲイブがタリノ協会の集会に参加する。 (『ハリダンの紋章』ジャック・マクデヴィット 早川文庫SF920,921)____________________________________ 人類が銀河系に進出し、アシユール人と対立している世界。 最新で最大の恒星間宇宙船〈カペラ〉が空間転移時に行方不明になった。辺境の 惑星で骨董品の店を経営していたアレックスは、叔父で育ての親のゲイブが 〈カペラ〉に乗っていたことを知らされる。ゲイブの遺言として疑似人格が 残されていた。彼は、新型調査船〈テナンドローム〉が、ヴェールド・レディで 発見して、秘密にした何かを見付けに行くところだった。それは、約200年前に アシユール人と戦った大抵抗戦争の英雄クリストファー・シムの航宙士で、 裏切り者として有名なルーディック・タリノに関する真実と関係していると いうことだった。アレックスは、早速、叔父の家のあるリムウェイに戻ったが、 家は何者かが盗みに入り、重要なファイルが盗まれ、秘密を知っていた可能性 のあるコンピュータは、保安処置が実行されて消去されていた。ファイル名と して使われたレイシャ・タナーというシムと一緒に戦った女性の名前や、同じ 時代の詩人キャンドルスの詩など、少ない手掛かりから、ゲイブの発見した 秘密に挑戦するが、何者かの妨害も続いた。 西暦11108年が、リムウェイ暦1249年だということは出てきますが、リムウェイ の一年の長さが分からないので、リムウェイ暦1414年が西暦何年かは分かりま せん。リムウェイは、地球に次ぐくらいの有力な星になっているようです。 大抵抗戦争は始めは人類の一部しか戦っておらず、クリストファー・シムは、 その頃の人類側の司令官で少数の小型宇宙船で戦っていましたが、最後は、 優勢なアシユール艦隊の前に壊滅してしまいました。しかし、それが切っ掛けで 地球やリムウェイが参戦して、開戦前の状態まで押し戻しました。 全部謎解きで、徐々に大抵抗戦争時代の真実が明らかになって行きます。 後半には活劇もあってはらはらもさせてくれます。 なお、この本の原題は、「A TALENT FOR WAR」です。ハリダンというのは、 シムの出身惑星デラコンダの猛禽類の名前で、デラコンダ軍の艦の舳先には、 ハリダンを形どった紋章が描かれていました。題名は、日本の題名の方がずっと 良いですね。原作者もこの題名に変えたくなるのではないでしょうか。 (2001/12/31記) 追記:このシリーズの『探索者』が、早川書房の海外SFノヴェルズから、 2008年に出版されています。まだ読んでいませんが。 内容は完全に独立していて、アレックスの店に持ち込まれた古いカップの 謎をめぐる物語だそうです。