新型インフルエンザ 生き残るための最新Q&A
●あやふやな情報・知識を再確認しよう自治体や成田空港などで、新型インフルエンザ対策の訓練が相次いで行われている。万が一、“新型”が国内で発生すると、最悪の場合、2500万人が病院にかかり、64万人が死亡するとされるだけに、事前の対策が不可欠だ。しかし、一口に“新型”といっても、いまひとつピンとこない。専門家に聞いた。《Q1》そもそも“新型”とは何なのか?「インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3種類あります。A型は、さらに144種類の亜型に分かれ、そのうち人が免疫を持っているのは、H1N1やH3N2など一部。免疫がない亜型はいずれも“新型候補”です。現在、H5N1が“筆頭候補”ですが、感染力は“鳥→人”“人→人”ともに限定的。それが強く広く“人→人感染”を起こすように変異したのが“新型”です」(長崎大学名誉教授・松本慶蔵氏)《Q2》“今のH5N1”に感染したらどうなるか?「38度以上の高熱や咳、そして呼吸困難や多臓器不全などを起こし、感染した方は60%以上が亡くなっています」(松本名誉教授)《Q3》感染者に接触したら?「中国やベトナムなどで人に感染したH5N1ウイルスは、肺で増殖しています。肺で増殖するうちは、ウイルスが体外に排出されにくいので、第三者には感染しにくい。のどで増殖するようになると、危ない」(東大医科学研究所・河岡義裕教授)《Q4》“新型”に薬は効くのか?「従来のインフルエンザも“新型”も、タミフルやリレンザが効果的。どちらの薬も、発症から48時間以内に投与することが大切です」(河岡教授)《Q5》それなら心配ないのでは……?「タミフルは、耐性ウイルスが見つかっています」(松本名誉教授)《Q6》“新型”にタミフルは使えないのか?「そうとも限りません。現在のタミフル耐性ウイルスは、“新型”とは別の亜型です。インフルエンザウイルスが感染する可能性のある人や鳥、豚などの体内で、耐性ウイルスと“新型”が出合い、遺伝的な交雑が起こって耐性化しなければ、大丈夫。万が一、耐性化すると、タミフルは使えません。現在、最も注意しなければいけないのは、このH5N1と耐性ウイルスとの交雑が起こってできる“新型”です」(河岡教授)《Q7》リレンザは?「リレンザの耐性ウイルスは、見つかっていません。タミフルの耐性ウイルスに感染しても、リレンザがあります」(松本名誉教授)《Q8》従来のインフルエンザ予防接種は効く?「“新型”の感染は防げませんが、重症化を防ぐことができます」(河岡教授)《Q9》H5N1ウイルス感染による死亡者トップのインドネシアに旅行しても大丈夫か?「首都ジャカルタがあるジャワ島でしか正確な診断ができず、H5N1ウイルスの感染者や死亡者が報告されるのはそこだけ。ほかの島にも、患者がいるはずで、防疫体制の不備があると思われます」(河岡教授)《Q10》日本で“新型”が生まれる可能性は?「十和田湖の白鳥の死骸から、H5N1ウイルスが見つかっていますから、ゼロではありませんが、今のところ極めて低い」(松本名誉教授)日刊ゲンダイ2008年12月9日掲載・・・Infoseekニュースより転載