ICR-4800を整備しました
先日ご紹介し、筐体のあっちこっちが割れているとぼやいた”ICR-4800”を、本日整備しました。色々やっている内に更に筐体の割れを発見してしまい、さすがに呆れましたね〜。それでは整備の様子を簡単にご紹介します。まずは液漏れの跡があった電池室負極側電極で、ここは物理的手段とケイグ赤で復旧させました。画像は復旧前の様子です。ハンダ付け部分の腐食も数カ所ありましたが重傷ではなく、綿棒にアルコールを付けて拭いておきました。基板は全体的に綺麗でしたので、回路の流れを追ってパターン面を紹介します。高周波増幅用FETのQ1で、接合型FETの2SK120が使われています。続いて、局発発振のQ3とバッファーのQ4です。周波数混合のQ2です。Q2〜Q4は普通のバイポーラートランジスターが使われています。低周波アンプ用ICの周りには、ケミコンやタンタル、一部セラミックコンデンサが使われています。下の画像の通り、ストラップの付けがね等は凄く綺麗な状態です。中間周波増幅部と低周波アンプはIC化されています。部品交換の方針は以下の通りとしました。1.高周波増幅用FET交換:2SK120→2SK543(チップ部品)2.抵抗器全数交換:炭素抵抗→金皮抵抗3.コンデンサ交換:ケミコンは基本的に全数交換、タンタルコンデンサも適宜交換それでは高周波増幅用Q1の交換です。ハンダ吸い取り器でQ1を外すとこのようになります。ちょうどチップ部品を付けられそうだったので、SANYOのMOS-FET:2SK543を取り付けました。下の画像がそれです。後はいつも通りに抵抗やコンデンサを交換しました。部品の手持ち在庫や物理的サイズの関係で、ディップタンタルやニチコンのF95など、様々な部品を使いました。表面実装のタンタルコンデンサは、極性を間違えないよう十分な注意が必要です。サイズが合う場所へはオーディオ用のケミコンも使いました。それでは部品面側も簡単にご紹介します。黒いコアのコイルは455KHzのIFTです。黄色い矢印のケミコンは、この後で交換しました。緑色コアのコイルは1つ目の455KHz-IFTです。下の画像のケミコンは外せそうもなかったので、そのままにしてあります。さすがにICR-4800も2台目で多少は分解の要領が良くなったか、アルミ製のダイヤル板を曲げる事なく取り外せました。しかしダイヤル板なんてネジ止めしてくれれば良い物を、爪で止めていますからねぇ。整備性が悪くて、うっかり調整も出来ませんよ。それでは外した部品を紹介します。本当は6.3V/100μFのケミコンがもう一つあります。右側にあるのは2SK120と交換用の2SK543です。このラジオにHiFi性は期待しませんが、ノイズっぽかった受信状態が改善され、静かで聴きやすい音になりました。最後にRF-B20と本機の大きさを比較してみました。ご覧の通りですが、スピーカーの大きさやオーディオアンプの性能差もあり、聴きやすいのはRF-B20です。