カテゴリ:渡愛戦記
自転車を盗まれた。
日曜日の昼下がり。 オコーネル・ストリートにある本屋の前に自転車を止めた。 地図を買うために本屋へいた時間はわずか20分足らずである。 本屋を出て、自転車を止めた場所に行くと、そこにあるはずの自転車がない。 自転車はないが、使っていたチェーンロックだけ残っていた。 盗難が多いとは聞いていたが、 まさかこんな短時間で盗まれるとは思ってもみなかった。 悲しいな。 悲しいので自転車がなぜ盗まれたかを考えてみる。 【盗む側の視点】 ・盗もうと思う自転車の基準は? 1.簡単に盗める(自分のスキルで盗める)自転車 2.きれいな自転車(ボロすぎたり壊れてたりしたら盗まない) 3.人がまったく通らない路地に自転車が止めてある場合 4.人通りがものすごく多い場所に止めてある場合 (怪しいことをしていても、バレにくい) 5.怨恨による嫌がらせ 今回の場合、僕の推測では「1」「2」「4」が該当していたと思う。 続いて各項目について詳しく私見を述べよう。 ■1.簡単に盗める(自分のスキルで盗める)自転車 まず、僕は鍵をかけていた。 盗まれたとき鍵だけが、その場に残されていた。 鍵が破損された形跡はなく、ロックされた状態のままだった。 ここで鍵の形状について下記に記す。 ・直径10mm、長さはおよそ1mのワイヤーチェーン。 ・通常ワイヤーは何重にも丸まっている。(直径20~30cmほどに縮まっている) いたって「普通」の鍵である。 チェーンが切断されていたわけでもないし、 鍵をかけた部分が開けられたわけでもない。 いや、もしかすると鍵を開けた後に、 もう一度鍵を閉めなおしたのかもしれない。 でも待てよ。 自転車をこれから盗もうとする人間が、 鍵を開けた後に鍵を閉め直す必要はあるだろうか。 普通だったら鍵を開けたらそのままにしておくだろう。 すると、こういうことか。 犯人は『チェーンを切断しなかった』し、 『鍵も開けなかった』ということになる。 ここで僕はひとつの方法を思い浮かべた。 -------------------------------------- ロックされていたワイヤーチェーンは、 形状記憶の要領で縮まっていたが、 犯人は縮まっていたワイヤーを伸ばして、 ワイヤーを輪っかの形にした。(全長1mほどのチェーン) 輪っかの状態になったチェーンの中に、 前輪(もしくは後輪)のタイヤをくぐらせて 自転車とチェーンを分離させた。 -------------------------------------- 一瞬、こんなことを考えた。 しかし、すぐに僕はこの考えを捨てなければならなかった。 なぜならチェーンは自転車のフレームの『中』を通していたからだ。 フレームで囲まれた空間からは、 どうしてもチェーンを外に出すことはできない。 両方の手で、それぞれ親指と人差し指で輪っかを作ってみてもらいたい。 次に左手の輪っかの中に右手の輪っかを入れてみれば、 どうやっても輪っかを取り出せないのが分かるだろう。 今回の場合、片方の輪っかが自転車のフレームで、 もう片方がワイヤーチェーンだったわけだ。 そしてワイヤーチェーンに自転車をつないでいた 街灯のポールが加わる。 知恵の輪なら、出口はあるだろうが、 これは知恵の輪ではない。 (もし外し方を知ってる人がいたら、ごめんなさい) よく考えてみればそんな曲芸はできないのである。 ということはどういうことだろう。 犯人は鍵を開けたあとに、もう一度鍵を閉めなおしたのだろうか。 不可解ではあるがそう認めざるを得ない。 誰にも犯人の思考を知ることはできないということか。 どちらにしても、犯人にとっては自分のスキルで盗める自転車ということだったのだろう。 ■2.きれいな自転車(ボロすぎたり壊れてたりしたら盗まない) 買ってから1週間しかたっていないのだから新品当然である。 盗む側としては、魅力がありすぎるだろう。 土砂降りの中を走ったわけでもなく、 汚れなどもまったくない。 今回の教訓は、買ったばかりの自転車は汚しておこうということだ。 軍服のカモフラージュ柄ではないが、 盗む側に魅力的に映らないように、 「汚く」「使えない」ような自転車に見せかけておくことが、 効果的だと考える。 ■4.人通りがものすごく多い場所に止めてある場合 (怪しいことをしていても、バレにくい) 人ごみの中では多少の悪事もばれにくいということだ。 代表的な例は、「スリ」だろう。 人ごみに紛れて悪質な犯罪を行うとは卑劣極まりない。 とはいえ、もし自分が「スリ」の立場だとしたら、 人ごみは絶好の防御壁として重宝することだろう。 また、都会では人が多すぎて、他人のことなど誰も気にしない傾向が強い。 自転車を使う人間など、掃いて捨てるほどいるし、 盗難の玄人ともなれば、コソコソと怪しい動きをしないで、 自分の自転車の鍵を外すようにスマートに盗みを働くのだろう。 そりゃ、自転車盗めるよね。 以上の3点が、僕の自転車が盗まれた理由だと思う。 悲しいな。 悲しいから、残りの2点についても私見を述べる。 ■3.人がまったく通らない路地に自転車が止めてある場合 本当に自分以外の人が通らなければ盗まれる心配はないだろう。 また、自分を含めて、その路地を使う人間が限られていれば、 盗まれたあとも犯人を特定するのは簡単かもしれない。 その他、、、 「あまり」人が通らない路地が一番危険かもしれない。 盗難以外の犯罪が発生した場合、頼る人間を呼ぶ術もなく、 悪漢たちに自由を許してしまうだろう。 人が通らないということは、「危険な場所」として、 一般人に認知されている可能性もある。 多少の物音をたてても人が来ないような場所だと、 自転車に鍵をかけていても、かなり手荒い外されかたをされるかもしれない。 もしくは自転車自体が壊される可能性がある。 ということで、そういう場所には自転車を止めないこと。 ■5.怨恨による嫌がらせ 怨恨による犯行の場合、 犯人は被害者のことを見ている可能性が高い。 相手を不幸にすることで、 自らの鬱憤を消化させることができるため、 対象となる人物が「どうなったか」を見届ける必要があるためだ。 嫌がらせのつもりで自転車を盗んだのに、 盗まれた本人がケロリとした態度を取っていたら…。 犯人はスッキリしないであろう。 怒りが増すことは間違いない。 逆に犯人の思惑通り、 被害者が「怒り」「嘆き」「悲しみ」に暮れたとしたら…。 それときこそ、犯人の願いが成就される。 被害者の悲痛な姿をみながら、 犯人は恍惚に浸るのである。 幸いなことに僕の場合、アイルランドに 怨恨を持たれるほどの親しい人物はいないはず。 ん? 幸いなことか? さて、なぜ自転車が盗まれたかを考察してみたが、 結局、悲しみが増すだけだった。 短かった僕の自転車生活。 もう、こっちでしばらくは自転車買いません。 (50~100ユーロくらいで安いのあったら買うかもしれないけど) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 7, 2005 12:52:53 AM
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