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そのバーからはロスの夜景が一望出来た。
一瞬だけ、嫌なことを忘れられた。 でも、すぐに現実に戻った。 そう、私の隣にはライアンでも、マヌエルでもなく、ロブが。 そっと横目でロブの顔を盗み見た。 ロブは眼鏡の奥の目をキラキラさせて景色に見とれてるようだった。 「ロブ、何飲む?」 「あ、ええ。景色に見とれてしまったよ。。。ハハ。えっとね、僕はカルーアミルクを」 「え?ああ、カルーアミルクね。私はドライマティーニを頂こうかしら?」 「ああ、じゃあ、僕もそれを」 カウンターの向こう側のバーテンダーは慣れた手つきでシェーカーを振った。 氷がシェイカーの中で踊る音が心地よい。 バックにはシャーデーがかかっていた。 シャーデーで何度、メイクラブしただろう。 ライアン、リチャード、ジョッシュ、そして名も覚えてない男たち。 「乾杯しませんか?」 既にグラスに口を着けてたロブはあわてて、そうですね、と苦笑いをした。 「こういうシチュエーションにキミエみたいな素敵な女性と2人きりなんてめったに無いんで」 「あら、お世辞でも嬉しいわ」 「えっと、それじゃ、ビジネスの成功を祈って乾杯」 「いいえ、二人に乾杯しましょう」 ロブの顔が薄暗い照明の中でも赤くなっていくのが分かった。 「は、そうですね。では、二人に」 カチンと小気味良い音をたててグラスがぶつかった。 ロブのグラスは震えていた。 私は心が震えていた。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.20 04:29:59
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