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怪しい空模様ながら、慣らし運転を兼ねて市外の顧問先へバイクで出かけた。国道2号線を西へ向かい、間もなく到着というところで前方に雨の柱が見えた。今いるところは薄明るいのに、前方は不気味な雰囲気を醸し出している。引き返すわけにも行かないので突っ込んでいった。
前が見えない。並走していた車も次々と停車していく。私は条件反射的にポケットの携帯電話を鞄にしまった。再び走り出したものの、車が邪魔して前に進めない。足を付くと足首まで水に浸かった。何がなんだか分からないまま、ようやく到着した。 社長と従業員は大笑いである。私はバイクで作業場まで入り、すぐさま服を全部脱いだ。全裸で腰にバスタオルを巻いただけの哀れな格好だ。しかし、都合が良いことにそこは車の塗装業だった。塗装を乾燥させるための設備が整っている。靴もパンツもシャツもすべて乾燥設備に放り込んで、とりあえず気晴らしの一服。しかる後に社長との面談が始まった。 私は普段からラフな格好で仕事をしているが、会社にいながら全裸バスタオル巻きのビーチサンダルで社長と面談したのは初めてである。そんな格好で売上がどうの、資金繰りがどうのと話をしているのだから、端から見ればまるでコントであったろう。 面談を終えて服が半乾きのまま身に付け、事務所に帰った。帰る道中はすっかり天気は回復していた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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