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灰色の空のむこうには…

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2007.02.24
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カテゴリ:本の話題

殺×愛6(きるらぶsix)


アホか!きみのためなら死ねる――
なぁんて言われて喜ぶ女はいないっつーの!
あたしのために生きてよね!
なにがあっても生きてよね!



僕の世界は再び変わってしまった。
幼なじみの来夏とずっと過ごすって決めたこと。
対天使兵器の少女が消えたこと。街がめちゃくちゃ
に壊れたこと――。
一緒じゃないけど一緒だったんだ。
       なのに僕は……。
「サクヤ……。」
意識しないのに呟きが口を突いて出る。
違う。僕はもう選んでしまった!
相思相愛の相手なら、不死身の僕に傷を付けれる
はず。だけど幼なじみは僕を傷付けることができず、
あの対天使兵器の少女が僕に傷を付けることが
できるなんて――。いや、迷うな僕のココロ!!
これは殺すために恋をして×死ぬために愛し合えば
世界を救える物語。だけど揺れる思いを綴った恋愛の
書……。

大量の天使襲撃によって崩壊してしまった神代市。
前巻は衝撃のラスト、主人公たちの日常の象徴で
あった街が大破壊されたところから続くこの巻では、
<オメガ>として人類の最期を見届ける運命を余儀
なく背負わされた主人公の苦悩をメインに描かれて
います。不死身の彼を傷付けることが出来るのは、
相思相愛の相手のみ。彼が苦悩の末に選んだ幼なじみ
は彼を傷付けることが出来ず、すれ違いにより別れる
こととなった対天使兵器の少女は彼を傷付けることが
できるという、そんな痛みにも似た苦しみの中で、
彼が選んだ道はある意味悲劇への道を突き進むこと
になります。椎堂密という人を愛して止まない幼なじみ
の彼女と人類を滅ぼす<オメガ>として恋をすることを
決意した対天使兵器の少女、その2人の間で揺れ動く
恋心はせつないものがありました。特に圧巻だった
のはラストのクライマックス。このシーンは僕の
中では他の名作と呼ばれる作品に匹敵するくらいの、
言葉足らずでありながら素晴らしくも美しいシーン
でした。

この物語は毎回各巻でいろいろ挿入話が語られます。
今回は、主人公の椎堂密がいろいろな人に問いかけます。
「恋って、なんでしょうね?」
この物語に登場する人物たちがそれぞれの立場から、
主人公の問いかけに答えるのですが、愛する人しか
殺すことができない、このルールほど残酷なものは
ないのではないでしょうか?いくら、ココロでは
相手のことを大切に思おうと相手は傷付けることが
できない――そうした運命に抗うように人として
生きようとした主人公は世界の崩壊に巻き込まれて
ココロまで崩壊してしまいます。そんな彼の前に現れた
のは、再び彼の前に現れた対天使兵器の少女。その
出会いはこれからどうなっていくのか、いよいよ
クライマックスへと向かっていく次巻がとても楽しみ
です。





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Last updated  2007.02.25 22:30:41
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