灰色の空のむこうには…

いつものように出勤途中の電車の中、僕の向かい
の座席に座っていた人がもぞもぞしていました。
もうすぐ定年間近に見えるスーツを着たサラリー
マン風のおじさんがポケットから何かを取り出した
ので、何をするのかなと見ていますと白いイヤホン
が。いかにもラジオを聞くようなものなので、
今度は反対のポケットをごそごそしだしたから
ラジオが出てくるのではと楽しみにしていると、
ポケットから取り出したのは携帯電話、しかも
オレンジ色。携帯とイヤホンを取り出して何を
するのかとさらに興味を持った僕は、おじさんの
行動を見ていますと、イヤホンをちゃきっと携帯
に装着させてぴぴっと操作をすると耳に取り付けて
目をつぶったのです。その光景を見て、僕はちょっと
驚いてしまいました。

僕の中では携帯電話は、電話をするものか、メールを
するものという認識しかなく、他の用途というのは
そんなに考えたことないのですが、今の携帯という
のはいろいろな機能が付いているのは周知の事実です。
テレビを見たり、音楽が聞けたり、果てはラジオを
聞けたり、ゲームが出来たりと、ちょっとした時間
潰しをするには最適な付加価値が携帯には搭載されて
いて、活用する人には重宝されるものとなっている
のですが、僕が基本機能以外に使うとすればメモする
くらいしか使わないので携帯というものはそんなに
重要なものでもなく、電車の中でしたら寝てるか、
釣り新聞を読んでるかくらいなもので、何をそんなに
携帯をいじることがあるのかなと、他の人を見てたり
しましたが、まさかおじさんが携帯の機能をフルに
使っている姿を見ると今の団塊の世代の人たちって
まだまだ若いなぁと思わざるをえません。

僕が子供の頃は定年手前の人っていうとどうしても
おじいさんという認識があったのですが、今の人は
うちの親も含めてかなり若いと思います。電化製品
の使い方も複雑になり、僕らでも使いこなすのに
手こずるくらいのものが多いのですが、そうした
機器でも興味のある人は僕たちよりもよっぽど上手く
使ったりしますから、すごいなぁと。年を取ったから
老け込むのではなく、その年代に合った楽しみ方、
過ごし方を見つけ、いろいろなものを最大限に活用し
エンジョイするのが若さを保つ秘訣なのかも。その
おじさんが何の音楽を聞いているのか興味のある
ところですが、そうしてエンジョイしているおじさんに
今流行りのちょいワル親父をもじってなかなかやるなと
いう意味をこめ、ちょいヤル親父として心からエール
を送りたいです。