灰色の空のむこうには…

天使の卵 通常版


人には自分が幸せになることだけを
考えればいい時期があると思うわ


美大を目指して浪人中の一本槍歩太は一足先に大学生
となった斉藤夏姫と恋人同士。しかしある日、満員
電車の中で出会った年上の女性に一目惚れしてしまう。
以来、その女性のことが忘れられずにいた歩太だったが、
思わぬかたちで再会する。精神を病んで入院している
歩太の父・直規の新たな担当医として彼女が現れたのだ。
彼女の名は、五堂春妃、なんと夏姫の姉だった。次第に
春妃への秘めたる想いを抑えきれなくなる歩太。しかし、
春妃には、ピュアで一途な歩太の気持ちを受け止める
ことができないある理由があった…。

かつてまだ週間少年ジャンプが絶頂期だった頃に、
集英社が新たな試みとしてジャンプ小説というのを
設立しました。その栄えある第１回の受賞作を書いた
人がこの映画の原作者である村山由佳女史で、一時期は
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズで話題になって
いた方なのですが、まだ小説を読んだことがなく、ふと
手にした映画の原作ということで見てみたくなりました。
いや、手に取った理由は小西真奈美女史と沢尻エリカ女史
が出演しているからなのですが…。
内容としてはよくある悲恋もののストーリー、前半は
意外と面白かったのですが、後半はよくあるぐちゃぐちゃ。
俗にいうセカチューものというタイプで、再生を描いた
物語だったのですが、きっかけにしてはちょっと押しが
弱かったような。最近はこういうのがブームなのかなと
思いきや、この作品が発表されたのが１９９４年でした
から、いわゆる先駆け的な作品。そう考えると、あえて
ブームに乗じた作りにしたのかと思うと今では見慣れた
展開ではなく、違った方向からの展開を期待したかった
ちょっと残念な作品だと思います。