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カテゴリ:本の話題
DDD2 ……そうだ。代わりは見つからない。似たような ものが見つかるだけだ。それでいいじゃないか。 なにも無理をして、まったく同じものを探してくる 事はない 其は恒温の最高速。不滅を矜(ほこ)る、 灼熱の揺り籠(フォウマルハウト)。 ――Decoration Disorder Disconnection. 2004年8月、オリガ記念病院から退院したばかりの 左腕の失い男、石杖所在と漆黒の義手義足を纏う迦遼海江 は、SVSと呼ばれる「死のゲーム」に巻き込まれる。 “シンカー”と称されるA(アゴニスト)異常症感染者、 俗称“悪魔憑き”。2年前に行方を眩ました、灼熱の殺人鬼。 そして2人の天才野球選手(プレイヤー)--。彼らの 失われた夏の跡(ゆめ)を消し去るように、所在と海江の 1度目の“悪魔払い”が行なわれる-- 前巻が1月に発売されたので、約7ヶ月ぶりに発売された 奈須きのこ氏のひさびさの最新巻。書店で見つけるや否や 即ゲットしてしまいました。休みなのをいいことに1日で 読破してしまいましたが、さすがに7ヶ月もブランクが あると登場人物の関係が曖昧にしか記憶されておらず、 どこかで見たことある名前だなぁという印象しかなく、 前巻を見直すという感じで読んでいたのですが、やはり きのこ氏の作品は面白い。何がどうと言われると難しい のですが、読ませるし、聞かせるし、想像させるところが いくつもあり、時系列は前後しながらも最後にはきちんと 読み返すと明らかになって終焉を迎えるという展開には いつも驚かされてしまいます。 今回は野球をテーマにしたSVSという「死のゲーム」が 主題で語られ、そのマニアックなまでの解説度は今リアル タイムでやっている高校野球の延長戦上とも捉えられ、 より実感として感じることができました。こちらのゲーム はその引退が決定してしまった高校球児だった者たちの レクイエムとでもいうべきもので、自分の夢に青春をかけた 人間の心情がありありと描かれています。限られた者しか 掴み取ることが出来ない栄冠、その栄冠を逃した者たちが アンダーグランドな世界で何を賭けて戦うのか、そうした 感情の起伏がありありと描かれた今巻は今までと違う展開 ながらもついつい惹きこまれてしまいました。それに加えて 日常と非日常の世界の境界を見事に描いたこの作品は、 読んでいるとなぜかしら懐かしい青春時代を思い起こさせて くれるようなところがありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.13 22:35:39
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