灰色の空のむこうには…

営業の仕事をしていますと、得意先の人たちの
中にはいい人たちばかりではなく、変わった人
もいたりします。今まで自分が育ってきた環境
の中では自分の好みで人間付き合いをしてれば
いいのですが、それが仕事となるとそういう訳
にもいかず、嫌いな人でも何とか割り切って
付き合わなければならないことも多々あったり
します。それが対得意先になればなおさらの
ことで、信頼を築くのには長い時間をかけない
といけないのですが、信頼を壊すのは一度の
きっかけでいいのですから厄介なものです。
営業のスタンスにはいろいろなやり方があると
思いますが、中でも一番大事なのは会話をする
ことでお互いを知るというのが最たるものでは
ないでしょうか。わかっていても話しやすい人
ばかりなら苦労はしないもので、厄介な人に
話しかけるには勇気がいることですし、努力が
必要なものです。そんなときに話の切り口と
して武装するのが何某かのネタ。僕の場合は
天然ミラクルコメディアン体質なので、日頃
何気ないことでもミラクルを起こすものですから
そんなにネタには困らないのですが、かと言って
僕のバカ話を聞いてくれる人ばかりだとも限らず、
そんな人にはこいつは面白いなぁと思われる
ようなものがあれば鬼に金棒。僕の場合はそんな
に意識はしていなかったですが、社会人になって
得をしたなぁと思えるのがお酒の量と僕の嗜好品。
お酒の量はさておきとしまして、嗜好品としての
たばこの銘柄はちょっとした話題になったりします。
それが学生時代からかれこれ吸い続けているもの
であっても、たまにそれがネタとなって思わぬ
変化球から話のきっかけになったりするものです
からなかなかわからないものです。

そんな話のネタで、今日それはないだろうという
ものを持っている強者を見ました。それは他の
メーカーさんで女性の営業派遣の人だったのですが、
僕と話していたお店の方がちょっと待ってと言い
残しやって来たお客さんにお得意さんのお客さん
のところへ接客に行き、時間潰しに秋用にどう
展示替えしようか考えながら時間を潰し、こう
レイアウトを変更しようと紙に書き終えた頃に
接客が終わったのでそれを見せに行こうとしたら
僕のところにお店の人が来る前にその営業派遣の
女性がつかつかと近寄って行って、商品の説明を
しだしたので、一応お店の人は僕に悪いと思った
のか僕も交えてその説明を聞くことになったの
です。まぁ、同系列競合しないところの人だった
ので他の商品勉強も兼ねて僕も聞いていたのですが、
お店の人のするどい突っ込みに商品勉強したメモを
取ったノートを取り出したかと思えば、そのノート
に驚いてしまいました。普通、僕らが使うノート
と言えばいわゆる大学ノートと言われるものだと
思うのですが、なぜかその女性が取り出したノート
はジャポニカ学習帳。って、そんなのあり？しかも、
その学習帳、漢字の練習ノートだったりしました。
いや、どういう基準でそのノートを選んだのか、
突っ込みどころ満載。商品云々よりも先に、その
ほうに話題が変わったりしました。しかもあと
数ページで終わるくらいメモってましたのでかなり
使い込んでいる様子。あまりのお店の人の突っ込み
ぶりになぜか僕がジャポニカ学習帳の豆知識を披露
してフォローしたりしてましたが…。僕もたまたま
ラジオを聞いていたときにジャポニカ学習帳のこと
を取り上げていたコーナーがあって、ノートの中で
一番売れているだの、あの写真は専門の人が何十年
も撮影していて、写真を選ぶ基準として色鮮やかで
もう一度見たくなるような花を選んでいるだの、
そういう謎な会話が展開されたのですが、ある意味
その会話は僕らからしてみればおいしい会話。
まさか、小道具としてそういうものを選んでいた
とすればかなりの曲者ですねぇ。突っ込んでフォロー
しながらもなかなかやるなぁ～と思わず感心して
しまいました。