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灰色の空のむこうには…

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2008.01.27
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カテゴリ:本の話題

銀河英雄伝説6 飛翔篇


だけど人生はままならぬものでな。おとな
になるってことは、やりたいこととやらねば
ならぬことを区別することさ。



今や至尊の冠を戴く存在となったラインハルトを
襲う暗殺事件。各処で暗躍する“地球教団”の
差し金と知り、ラインハルトは彼らの聖地たる
地球に軍を派遣する。一方、悠々自適の退役生活
を楽しむヤンも、己の周囲に監視網が巡らされて
いることに気づく。やがてある日、彼の元を黒服
に身を包んだ男たちが訪れた。一度は平穏の時を
迎えた銀河は、再び動乱に呑まれようとしていた。

両英雄による戦いが勝者も敗者も生み出さない
ままに終わった戦争後の銀河がこれからどんな
方向に向かっていくのか、それこそが戦争という
共通認識から治世という新しい価値観を生み出す
過渡期の中で一番難しい問題だと思います。その
平和を享受しながらも事は単純なものではなく、
複雑に変化していく世界というものの喜劇とも
悲劇ともいえない群像劇を描いているという点で
新たなる幕開けには相応しいスタートだったの
ではないでしょうか。賽は投げられたヤンたち
一向の今後の動向に期待したいと思います。

それにしてもこの巻を読んで強く思ったのが、
とても深い物語だなということです。前巻まで
は戦争をメインに展開していたので、面白い
スペースオペラだなという風にしか読んでいな
かったのですが、昨今の世界情勢とその対立を
ニュースで聞く限り、それらの縮図がこの巻に
描かれているというのは23年前に発表した
作者に先見の明があったのか、それとも人類の
歴史を凝縮したこの物語が何度も語るように
人類はいつまでも同じ過ちを繰り返すのか、
かなり悩むところです。





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Last updated  2008.01.27 15:56:43
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