灰色の空のむこうには…

「まいど～、調子はどうですか？」
「う～ん、危機的状況やなぁ。どうにもこうにも
　お客さんが来ないからな。」
「おかしいですねぇ。お花見も終わったし、入学
　シーズンも終わったからそろそろ来てもいいと
　思うんですけどねぇ。」
「そやな、みんな貯めこんでるんかな？」
「あ～、やっぱり最近は物価が上がってますから
　ねぇ。一山当てないとなかなか買おうと思わない
　のかもしれませんね。」

「やっぱりキャリーオーバーを狙っていかなあかん
　のと違うか？」
「そういや、どんどん積みあがってるみたいですね。」
「他にも６つの数字を選ぶやつとか、数字を書くのも
　捨てがたいけどな。」
「まぁ～、当たるも八卦、当たらぬも八卦と言います
　けど、買わないと当たるものも当たりませんから
　ね。」
「でも買ってもなかなか当たらへんけどな。」
「そんなバクチをするよりもこれからは外貨を買った
　ほうがいいかもしれませんね。今はもうドルが１００
　円代まで上がりましたから。僕ぁ、９５円になった
　とき買おうと思いましたから。」
「オレもそれを考えた。売るときはやっぱり１２０円
　くらいになったときかなと。」
「ですよねぇ、いくら景気が悪いと言ってもそのうち
　１２０円くらいまでには戻ると思いますから。そう
　考えたら９５円で買って１００円で売ったとしても
　銀行の利子よりも高くつくんじゃないですか？」

「でも手数料を結構取るとかいう話やで。」
「え？でも手数料って一回の取引に対してかかるもの
　じゃないんですか？」
「いや、１ドル当たりにかかるんじゃないかな？オレ
　もようは知らんけど。考えたけど買うにしては元手
　がないと話にならへんし。小銭をかけて小銭を儲け
　てもなかなか増へんやろ。」
「ふぅ～、やっぱり行き着くところはお金がないと
　増やすことは出来ないってことですかね？」
「どっかに元手がかからないで増やす方法ってない
　かな？」
「そんなんあったら誰も苦労しませんって。」


こうして二人してため息をついていた、今日のお店
回りでした。概ね、実話です。