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カテゴリ:本の話題
銀河英雄伝説9 回天篇 おれは自分がなんのためこの世に生を享けたか、 長いことわからなかった。知恵なき身の悲しさだ。 だが、いまにしてようやく得心がいく。おれは皇帝 と戦い、それによって充足感をえるために、生きて きたのではなかったのか、と。 前指導者の遺志を継ぎ、共和政府を樹立した不正規隊の 面々。司令官職を引き受けたユリアンは、周囲の助力を 得て、責任を全うすべく奔走する。帝国では皇帝暗殺未遂 事件が発生、暗殺者の正体を知ったラインハルトは過去に 犯した罪業に直面し、苦悩する。そして新領土総督ロイ エンタール謀叛の噂が流れるなか、敢えて彼の地に向かう ラインハルトを、次なる衝撃が待ち受けていた。 前巻で帝国軍の宿敵であったヤンの死により、銀河は ラインハルトによって安定するものと思われていたの ですが、それを快く思わない者たちの手によりまだまだ 騒動は続くみたいで、その魔の手はラインハルトの側近 にまで延びていくのは、読んでいて人々の思惑というのは ほんの些細なことがきっかけで大きな騒動となるものだと いうことを描いていたように思います。 帝国軍元帥であるロイエンタールによる反乱は、なし崩し 的に至った道程ではありましたがそこには本人による意志 も存在していたことに端を発してしまうわけですが、陰謀 を画策する者たちに取っては祭りが中途半端に終わって しまったことによってまだ続けたいと思う人間たちの心の 虚を突いたものとして、そこに至るまでの当人たちの過程 が克明に記されていたのは戦争の果てしなさを表していた と思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.18 21:21:59
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