|
カテゴリ:本の話題
秀吉の枷 上巻 半兵衛には見えまする。彼の人がいつか転ば れるお姿が……もし、いつまでも転ばぬよう なら、拙者、六道輪廻をのたうちまわり、揚げ 句は地獄に堕ちるは必定なれば、必ず閻魔に 願い出て、早々に彼の人を地獄に引きずり込み ましょうぞ。 「殿は、いつまでもあの『覇王』の手先であってはなり ませぬ」。死を目前にした軍師・竹中半兵衛は、病床で 秀吉に四つの忠言と秘策を授けた。天正七年(一五七九) 六月、蜂須賀小六、前野小右衛門ら播州から駆けつけた 異能集団“山の民”を伴い、秀吉は密かに天下取りに 動き出す。 前作「信長の棺」の続編として、小説化の発売をずっと 楽しみにしていたのですが、その期待を裏切らないもの でした。僕は歴史好きですが、どちらかというと戦国 時代には疎く、歴史上の流れは知っていても細々とした ところまでは詳しくないため、こうしてリアルタイムな 出来事をまさに見てきたような流れで語られたり、表面 からではわからない等身大の秀吉の思考をありありと 描いている本作ではこれまでの秀吉という人物を覆す ような意外な発見がありました。 物語も数年後の出来事を描いた前作を踏まえて作られて いるので、その頃の考察を秀吉側の視点から見るという 面白い構成もさることながら、なにより初っ端の半兵衛 と秀吉の関係がとても印象的でした。まさに当人たちを 目の前に描写しているのではないかというほどリアルな やり取りには圧倒されるものがありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本の話題] カテゴリの最新記事
|