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灰色の空のむこうには…

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2009.07.02
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カテゴリ:本の話題

秀吉の枷 中巻


光秀の行動は、良識と勇気ある信長の家臣なら、
だれもが行わなければならない人臣の道だった。
それをこの男だけがやり遂げた。
それが「本能寺の変」である。



「例の本能寺に通じる抜け穴を、本能寺の古井戸から至近
距離で封鎖するのだ」。光秀の謀反を察知した秀吉は、
前野将右衛門に命じた。その光秀を天王山に破り、秀吉は
後継者争いのトップに躍り出る。やがて信長の遺児や嫡流
を葬り去ると、信長の姪、茶々に触手を伸ばす。独裁者と
なった秀吉の心に広がる、消えることのない闇とは。

前巻から引き続き、本巻のほうも一気に読み終えたのです
が、上巻の期待を裏切らないとても面白いものでした。
この本のタイトルともなっている「枷」とはどういうもの
なのだろうと思っていましたが、前巻でとった秀吉の行動
が後々になって禍根となり、その行動を妨げる様を見る
につけ、かなりよく練り上げられた物語だなぁと感心する
ことしきりです。

前作は過去の経緯を解き明かす謎解きの要素を含んだ物語
で、本作はその時代を別の視点からリアルタイムに俯瞰
するという意味ではとても面白く感じられ、前作を読んだ
からこそわかる面白さというのがそこはかとなく伏線と
なって散りばめられているのが飽きることなく読めたと
思います。また秀吉という人物も作り上げられた偶像と
してではなく、一個人として描いているという意味でも、
これまでの歴史物語と比べると一線を画した作品に仕上が
っていると思います。





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Last updated  2009.07.05 21:46:13
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