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カテゴリ:本の話題
秀吉の枷 下巻 王というのは、天下を取り、安楽の中に身を置く と、お人が変わる。側近が、変わり果てた王を 見たくなければ、さらりと王の許を去って、別の 人生を探しなさるがよい、という教訓でござるよ。 「わしは天子様から、跡継ぎのお子を頂戴する」。九州を 制圧し、仇敵・家康を関八州に追いやり、さらには明遠征 にまで乗り出す秀吉。豊臣家安泰のために、子作りと朝廷 工作に励む秀吉を、絶望の底に陥れた“淀君の陰謀”とは 一体何なのか。 ちょうど大河ドラマの「天地人」が、豊臣秀吉の時代を 描いているのと同時平行して読んだためか、物語の内容は 違いますが活字での想像のものとしてでなく映像の現実の ものとしてこの物語を読み終えることが出来たので、より リアルに感じることが出来ました。中巻で明らかになった まさしく「枷」の名に相応しい秀吉の行動を押さえ込む ために天下を取ったはずが、頂点から一転して衰退の道を 歩むことになった秀吉の凋落ぶりが余すところなく描かれて いました。 先にも出ました「天地人」ではどちらかというと通説通り の秀吉像が描かれていたわけですが、この作品での秀吉は 前巻から引き続いている等身大の秀吉を描いていまして、 歴史上の人物というのではなく実際にすぐ目の前にいる人物 として描いているので、ある事件に対して秀吉の心情を交え て描かれているところに面白さがあると思います。後世では 非難されている秀吉の行動も、秀吉のその当時の状況と心情 を推理して新説を語るその内容は面白いものがありました。 その反面、誰もが知っている歴史的事実を違った角度から “淀君の陰謀”として捉え、秀吉視点でその悲劇を見るさま はミステリー的な要素もあり、とても楽しんで読み終える ことが出来ました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.08.08 14:45:51
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