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灰色の空のむこうには…

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2009.10.23
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カテゴリ:映画な話
というわけで、デアゴスティーニ社から発売されま
したオペラ・コレクション第4号である「蝶々夫人」
を見ました。


「カルメン」「椿姫」と並んで三大オペラに数えら
れるくらい有名な作品なので、もちろんタイトルは
聞いたことありますが、どんな内容なのかは全く知ら
なかった僕でしたが、見終えた感想としては外国人
の目から見た不思議な国ニッポンというイメージが、
まず頭に浮かびました。

というか、時代は明治時代のことながら、僕ら日本人
の立場から見てもどことなくおかしな風俗描写が
あったりしますので、とても違和感を感じてしまう
シーンが多々あったのですが、近代の作品ですら
こうなのですから、大航海時代である「東方見聞録」
に黄金の国ジパングと紹介されるのも無理はないかな
と思いました。

ただひたすらに待ち続ける女性像という姿は、この
ときに外国人の中での日本女性のイメージを植え
つけたのではないかと思えるくらいに、インパクトが
ある作品という意味では恨みつらみを言うのではなく、
恋焦がれる心を切々と訴えかけるところが、悲劇風に
アレンジされているとしてもとても興味深く見ること
が出来ました。

僕的にツボだったのは、この「蝶々夫人」の原題が
「マダム・バタフライ」で劇中でもたびたびその名
で呼ばれているにも関わらず、中には蝶々さんと
いうように日本語読みで呼ばれるところだったり
するのですが。


これまで見たオペラになかった特徴としましては、
2人の人物が同時に歌いながらも違う言葉を歌い
続けるというシーンがあったのですが、どうにも
声がかぶって歌うというのはちょっとどうなのか
というのがありました。

その歌い手の言葉がわかれば難なく理解すること
も出来たのでしょうが、こっちは字幕を見ている
側として同時進行で2人の言葉が流れるとどっち
がどっちのことを言ってるのか理解しづらい場面
も。

これまでのオペラでは多少、そういう場面も見る
ことがあったのですが、今回の「蝶々夫人」では
そういうシーンが多々ありまして、これって実際
日本語で見る劇であっても2人の人が違う言葉で
歌うというのを見たとするとかなり微妙な気が
するのですがどうなんでしょう?


ただ、特筆すべきはこのオペラにおける心理描写
の繊細さで、蝶々夫人の歌う溢れんばかりの愛情
表現の幅広さにはただ圧倒されるばかりでした。

巧みに移り変わるさまざまな心の機微を、比喩やら
直截的に歌い上げる素晴らしさは、聞いているうち
に胸にこみ上げてくるものがありました。

やはりこれまでのオペラと違い、この「蝶々夫人」
に感情移入しやすかったのは、たくさんの登場人物
があれども、メインは蝶々夫人ただ一人に絞られて
いるからであって、脇を固める人物たちがむやみ
やたらに表に出てこなかったのが良かったのでは
ないかと思います。





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Last updated  2009.11.01 21:04:07
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