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灰色の空のむこうには…

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2009.11.04
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カテゴリ:本の話題

火天の城


落城するにしても、これならば、ゆるりと
曲舞をたのしむいとまがある



信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。天に聳える
五重の天主を建てよ!巨大な安土城築城を命じられた
岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、前代
未聞の大プロジェクトに挑む。

何と言いますか、時代小説を読んでましてこれほどまで
面白いなぁと思える本はひさしぶりだったと思います。
題材としては安土城を建てる棟梁一門の話だったのです
が、ここに出てくる人物たちはそれぞれが活き活きと
描かれており、信長をはじめとするこの作事に関わった
人物たちがリアルに命を賭けて臨んだ一大プロジェクト
のすべてがここにはあったのではないかなと。これまで
時代小説といえば、武将たちがメインで語られていた感
がありますが、ここに出てくる職人たちは自分の職分の
中で挫折し苦しみながらも、限界に挑戦し続けて未曾有
の安土城を建てたことがありありと描かれていたと思い
ます。

正直なところ、この小説を読む前に映画版のほうを見た
のですが、確かに映画版は映像には圧倒されるものが
あったのですが物語展開としては少々疑問があったの
でしたが、たまたま本屋さんで原作であるこの本を
見つけたときにラストが映画版では語られなかった
本能寺の変後のことが書かれていたので、その後の岡部
一門がどのような顛末を送ったのか知りたいがために
読み始めたのですが、映画版とは違う設定で物語が
語られていて2章くらい読み進めたところでどっぷり
とこの物語の世界にハマってしまいました。とても
読み応えのあるいい作品でした。





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Last updated  2009.11.12 18:26:58
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