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灰色の空のむこうには…

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2009.12.14
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カテゴリ:本の話題

ブラバン


俺はたぶん、何かが終わっていく感じが嫌い
なんよ。どうように下らんことでも、それが
終わっていくんが悲しいんじゃ。ほいでも
終わらんものなんかどこにもない。じゃけえ
せめて最後の最後まで見届けようとする。



一九八〇年、吹奏楽部に入った僕は、管楽器の群れの
中でコントラバスを弾きはじめた。ともに曲をつくり
上げる喜びを味わった。忘れられない男女がそこに
いた。高校を卒業し、それぞれの道を歩んでゆくうち、
いつしか四半世紀が経過していた―。ある日、再結成
の話が持ち上がる。かつての仲間たちから、何人が
集まってくれるのだろうか。

吹奏楽なんて全然知らない僕がふとこの本を本屋さん
で見つけたのは、ちょうど先日の日記で「あの映画を
夢見て部活作ったら色々と青春だった」
というネタを
書いた数日後のことでした。その音楽熱が冷めてない
タイミングでの発見でもあり、すぐさまゲットした
わけですが、さすがに吹奏楽がメインの話だけあって
楽器の説明やらも専門的どころかマニアックだったり、
クラッシックならまだしも80年代に流行った音楽の
説明があったりとさっぱりだったのですが、とても
面白い作品でした。

25年の歳月を跨いでの過去と現在を織り交ぜて語ら
れる吹奏楽部の部員たちのエピソードはかなり面白く、
特に高校時代のはちゃめちゃっぷりは僕にもこういう
似たようなことがあったなぁと共感できるところが
いくつかありました。そしてそういう共通の経験を
してきたからこそ、過去の思いをそのままに25年
ぶりに再結成しようとするファンタジーを実現する
ために動き出したメンバー、しかし過去の思い出に
生きるのではなく現在を生きる人々も描きながらの
群像劇はキャラクターの違いがわかりづらいほどの
登場人物ではありましたが、個々のエピソードには
ほろりとくるものや笑えるものなどがあってとても
満足できるものだったと思います。

ラストはドラマのように感動的ではなく、現実的な
ものだったのですが、それだからこそよりリアリティ
を感じることが出来る、まさに青春小説と呼ぶに
ふさわしい素晴らしい小説でした。





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Last updated  2009.12.30 11:47:38
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