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灰色の空のむこうには…

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2010.06.18
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カテゴリ:本の話題

明智左馬助の恋 上巻


誰が風や雨を起こすのか。それは天と地である。
だが、嵐だろうと、にわか雨だろうと、いつかは
止む。と、悟った瞬間、この人の世が急に楽に
なった。



後醍醐天皇から錦旗を賜った祖先を持つ三宅弥平次はその
出自を隠すべく、明智家の養子となって左馬助を名乗り、
信長方についた主君とともに参謀として頭角を現すように
なる。秀吉との出世争い、信長の横暴に耐える光秀を支える
忠臣には、胸に秘めたある一途な決意があった。

「信長の棺」「秀吉の枷」に続く、本能寺三部作として
執筆された完結編である本編の上巻をようやく読み終え
ました。これまでいろいろな歴史小説を読んできましたが、
考えてみればこうして明智光秀を主人公にした作品という
のはほとんど読んだことがなく、どちらかというと本能寺
で信長を討った悪役としてのポジションが否めず、脇役と
して織田軍団の武将の一人として登場することが多かった
だけに、そんな光秀が主人公という違った視点から書かれて
いる本シリーズはとても興味深く読むことが出来ました。

また本編はこのシリーズでは最も信長のリアルタイムな時
を描いているということで、第一作の伝聞系でもなく第二作
の過去語りでもない上に、飛ぶ鳥を落とす勢いの織田軍団の
内情が事細かく記されており、その出世頭だった豊臣秀吉と
明智光秀の対比しつつ、信長の大将としての行動を部下で
ある光秀が分析するというものはこの時代に行われた信長の
行動がすごくわかりやすく描かれていたと思います。

まだ上巻の時点では光秀が本能寺の変を起こしたきっかけに
なる原因までには言及されていませんでしたが、その配下と
して精一杯仕事をする光秀やそれを補佐する左馬助の姿が
どことなく爽やかな風を感じるものでした。





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Last updated  2010.06.24 15:46:34
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