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灰色の空のむこうには…

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2010.06.28
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カテゴリ:本の話題

明智左馬助の恋 下巻


別世界を見ていたのだ、信長という男は!
それも一人だけで……何故おれも主君光秀
もこれに気付かなかったのだろう。
いや明智だけではない。織田軍団のすべて
が……。



「愛宕山に詣でて、戦勝祈願のために一夜参篭する」。朝廷
との密会を重ねる光秀の暴走を止められない左馬助。そして
本能寺の変――。

前巻では等身大の織田信長の姿と、織田軍団の中での明智
光秀のポジションが描かれていましたので、本巻を読んで
いても何の違和感もなく読み終えることが出来たのですが、
読み終えた感想としては新解釈から明智の姿を描いたとても
面白いものであったと思います。そして物語は本能寺へと
突入した頃には、その真相がそれぞれの思惑からの謀殺の
御輿に光秀が担がれたということになっていたのですが、
それまでに至る経緯がとても理屈として理解出来るもので
あったために、納得して読むことが出来ました。

物語としては明智光秀の娘婿である左馬助の目線で物語が
展開していたのですが、信長を討つことになった光秀の心境
も左馬助には作品の中では語られなかったので本能寺の変の
前にあった連歌会での歌の解釈から推理するという新たな
切り込みがされていたりもして、なかなか読み応えがあった
と思います。また、左馬助もこの作品で初めて知ったのです
が、男としても武人としてもとても魅力的に描かれていて、
これまでの明智に纏わるイメージを払拭して新たな可能性
を示唆してくれる作品だったように思えます。





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Last updated  2010.07.14 22:56:06
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